ただひとり「世界レベル」の大迫傑。独自のメソッドで五輪メダルを狙う (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 25km付近では大迫、深津卓也(旭化成)、佐藤悠基(日清食品)、竹ノ内佳樹(NTT西日本)の4人の日本人ランナーと5人の外国人ランナーの計9人が優勝争いに残った。さらに30kmまでの間に深津、佐藤が遅れ、トップ争いはソンドレノールスタッド・モーエン(ノルウェー)、ビダン・カロキ(DeNA・ケニア)、キプロティク、大迫と竹ノ内の5人に絞られた。

 早々に設楽啓太(日立物流)、川内優輝(埼玉県庁)、そして中間地点の前で神野大地(コニカミノルタ)、佐々木悟(旭化成)ら、日本人有力選手が次々と脱落していった。そういう状況でも、大迫は「自分のペースと走りに集中していた」という。

 レース中、ペースの上げ下げや位置取りなど他選手との駆け引きが行なわれるが、大迫はそうした外的な要因に影響されない。常に自分の体に問いかけ、自分の走りに集中し、マイペースを貫く。それが大迫のレースのやり方だ。

 29km地点で5人になった時も他選手を意識することはなく、「結果的に5人になったのか」と捉えていた。30kmを過ぎてペースメーカーが離れ、竹ノ内が遅れて4人の勝負になってからもマイペースは変わらない。ひたすら前を見て、自分の走りだけに集中していた。途中、モーエンとカロキが前に出て、3位の単独走になっても時計の針のように正確に自分のペースを刻み続けた。

 マラソンがまだ2回目にも関わらず、大迫がマイペースで大胆な走りを実現している背景には、これまでこなしてきた練習とレース結果への自信がある。

 今年4月、初マラソンとなるボストンマラソンで3位になった。その結果は前年10月から続けてきた練習と大会直前の練習が間違っていなかったことを証明した。

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