【東海大・駅伝戦記】10年ぶりの
出雲制覇。1区・阪口で勝利が見えた
東海大・駅伝戦記 第10回
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アンカーの關颯人(せき はやと/2年)が残り500mを切ったところで掛けていたサングラスを上にあげた。後続の選手はまったく見えてこない。
「關! 關! 關!」
ゴール地点で待つ選手たちが声を上げる。その声に導かれるように關が右手を突き上げてゴールに飛び込んできた。青学大に1分33秒差をつけての堂々たる勝利。東海大にとって10年ぶり4度目、待ちに待った出雲駅伝の優勝だった。
レース前日、東海大の6区間の出走メンバーが発表された。
1区:阪口竜平(2年)
2区:館澤亨次(2年)
3区:松尾淳之介(2年)
4区:鬼塚翔太(2年)
5区:三上嵩斗(3年)
6区:關颯人(2年)
このメンバーが発表された時、青学大の原晋監督は「4区に鬼塚かぁ......」と予想外の配置に思わずため息をついた。青学大の裏をかくメンバー編成は、いかに生まれたのか。前半区間に速いランナーを並べて前半勝負をかけてきた青学大に対抗するように、東海大は後半勝負型に編成されている。3区まで我慢して先頭についていけば、後半に關ら有力選手がおり、勝機が見えてくる。その勝負をかける4区に鬼塚を置いたわけだが、その裏には1区の阪口の存在があった。
1区でスタートする東海大・阪口竜平(手前右端)
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