東海大の駅伝に大物1年生。今年も「ルーキー旋風」が吹き荒れるのか (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 自分のことについて、きちんと整理できているのだろう。同時に言葉からは意志の強さと頑固さが伝わってくるが、本人いわく普段は優柔不断なのだという。

「たとえばコンビニとかで昼飯を選んでって言われたら『やべ、どれにしよう』って悩んで一番最後にレジに並ぶタイプです。走ること以外はなかなか決められない(苦笑)。趣味ですか? 走ること以外、特にないですね。休日は寝ているか、映画を見に行くぐらい。特に気分転換とか求めていないですし、積極的に遊びにいこうってタイプじゃないです」

 東海大に入ってきた目的からすれば、日々走ることに集中するのは当たり前であるし、ましてや1年生から箱根を走ろうと考えれば、オフの日もあえて"走り"の現実から離れる必要がないのだろう。

 秋からはいよいよ駅伝シーズンが始まる。昨年は1年生のスーパールーキーたちが活躍したが、名取はどの大会を目標にしているのだろうか。

「一番は箱根駅伝ですね。箱根で5区6区以外、できれば往路を走りたいです。昨年も鬼塚さん、関さん、館澤さんと1年生が往路で3人走っていますし、そこを目指していかないとここ(東海大)に入ってきた意味がないんで」

 口調に熱がこもる。そのメンバーに入るために必要なものとは、いったい何だろうか。

「まず、スピード、タフさ、そして精神力ですね。スピードはタイム的な目安でいうと5000mであれば13分台、1万mであれば28分台で走ること。5000mは今年まだ一度も13分台で走れていないですし、今後、自己ベストを更新できるかどうかがですね。そこをひとつの目安にしています。

 タフさとは粘りですね。自分はスピードよりも持久系の方が得意なんですが、最後までしっかり粘って走れるようにならないとメンバーには入れない。精神力は、それになり強いというか、あります(笑)。いつもわが道を行く感じなので」

 表情はまだあどけないが、昨年活躍した1年生同様、何事にも動じない、どっしり構えた"大物"の雰囲気を醸し出している。箱根では、きっと上級生のような落ち着いた走りで「名取はすごい」と周囲をうならせてくれるだろう。

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