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競技歴4年で五輪日本代表になった男、
ウォルシュ・ジュリアンは何者か (5ページ目)

  • 高橋博之●文 text by Takahashi Hiroyuki
  • photo by Yutaka/AFLO SPORT

 リオに入ってから、レース前に練習で一度だけスタジアムの中に入った。観客は入っていなかったが、その分、建物が発する迫力を感じることができた。

「ここで走るのかとテンションが上がりました。ただ、試合近くになって捻挫してしまい最後の刺激を入れられなかった。当日も『いつもしていることをできなくて、いいパフォーマンスを出せるだろうか』と迷ってしまい、納得できる走りじゃなかった。雰囲気に飲まれたのだと思います。そう言えば、験(げん)かつぎの蕎麦も食べられませんでした。スパゲティじゃ物足りないでしょ」

 次の目標は東京五輪だ。

「東京ではリオ以上、決勝へ進みたいです。そのためには2017年に44秒台の記録を出して、世界と戦える選手になること。そして2018年アジア大会、2019年世界選手権と実績を重ねる、そのようなイメージを持っています」

 故障してしまったので、2017年中の44秒台は難しいと思われるかもしれない。日本人で44秒台を記録したのは、過去に高野進ただひとり。それほど困難な数字だが、ジュリアンならやってくれそうだと期待を持たせてくれる。陸上を本格的に取り組んで5年、底はまだまだ奥深いところにある。

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