競技歴4年で五輪日本代表になった男、ウォルシュ・ジュリアンは何者か (2ページ目)
大学3年生という若さはもちろんのこと、陸上競技を本格的に開始してまだ5年という経験の少なさも、成長を期待させる大きな理由だ。小学生のとき、北京五輪のウサイン・ボルトに憧れて中学では陸上部に入ると決めた。
しかし、東村山市立第三中学校では陸上部が廃部になっており、バスケットボール部で3年間を過ごした。「高校こそは」と、陸上部があることを確認して埼玉県の東野高校へ入学。ただ、当時の東野高校には競技歴を持つ指導者がいなかった。ジュリアンもあまり練習に熱が入らず休みがちだった。転機が訪れたのは2年に進級したとき。国体出場経験を持つ武井智巳教諭が監督になり真剣に取り組むようになった。
それまでジュリアンは100mに取り組んでいたが、ほどなく武井監督に400mを薦められた。ジュリアンは当時の気持ちをはっきり覚えている。
「嫌でした。400mは誰でも最初嫌がると思いますよ(笑)。でも、実際に大会に出場すると確かに100mや200mより結果がよかった。ただ、どこかのタイミングでまた100mを走らせてくれないかなと、ずっと思っていましたね」
ジュリアンは急成長を見せて秋の新人大会で48秒台を記録。高校3年のインターハイ北関東予選では46秒98をマークして優勝、インターハイ出場を決めた。そのタイムが評価されて世界ジュニアのリレー日本代表の座まで一気に手に入れた。
「監督にいきなり『世界ジュニアでリレーに出ることになったからバトンの練習をするぞ』って言われて......。降って湧いたような感じです。世界ジュニアもインターハイも意識したことがなかった。速くなりたい、記録を出したい、ガムシャラに走っていただけだったから」
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