競技歴4年で五輪日本代表になった男、
ウォルシュ・ジュリアンは何者か
今年4月の世界リレー選手権で肉離れを発症してからすでに3か月が経っていた。日本選手権は間に合わず、復帰戦の舞台は7月のトワイライト・ゲームスにまでずれ込んだ。その復帰戦でウォルシュ・ジュリアンは先頭でゴールを駆け抜けた。しかしゴール直後は一瞬下を向き納得のいかないそぶりを見せた。
試合前はいつもと同じようにコンビニで買った蕎麦(そば)を食べた。スタートラインに立ったときにワクワクする気持ちもいつもと一緒。悪くはなかった。しかしスタート直後から体が重く、いつものようにスピードに乗れない。前半で脚力を消耗してしまったジュリアンは、最後のストレートでスピードがジリジリ下がった。それでもアスリートの意地だけで先頭は譲らなかった。そんな46秒75だった。
競技を始めてわずか4年でリオ五輪の舞台に立ったウォルシュ・ジュリアン 復帰戦を終えてジュリアンは「まだ体が慣れていないという感じです。動かない、だから後半を維持できない。それでもちゃんと走れたことで、次につながります」と前を向いた。しかし想定していたタイムが出なかっただけに悔しさは見てとれた。
ジュリアンはジャマイカ人の父、日本人の母を持つ400mを得意とする陸上短距離選手だ。スタートから積極的に飛ばして好位をキープし、無酸素運動の限界といわれる40秒前後を過ぎてもスピードを維持してゴールまで駆け抜ける。自己記録45秒35は日本歴代7位。リオ五輪では400mと4×400mリレーに出場したが予選で敗れた。東京五輪に向けてさらなる成長を期待されている。
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