「マラソンにホームランはない」。瀬古利彦が神野大地に贈った言葉 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

「そのためのプログラムが『レイヤートレーニング』です。低負荷で回数をこなすトレーニングで足の筋力をアップし、筋持久力を高めていく。ようするにマラソンを走れる足を作るということです」
 
 ループでコアをさらに鍛え、レイヤーで足の筋持久力を高めていく。そこで重要になってくるのが、それぞれ鍛えたブロックをリンクさせてコントロールする術だ。

「レイヤーで鍛えた足の筋肉を動きの中で使えるかどうかはまた別問題なんです。足と脳をしっかりとリンクさせて体を動かし、コントロールすることができないと、いくら足を作ってもいい走りができない。逆にそれができれば、可能性が広がります」
 
 作った筋肉をなじませ、自由に動かせるようになるには、それなりに時間がかかる。しかも、やったからといってすぐに結果が出るかどうかはわからない。

「体をマラソン仕様に作り直していくのは簡単にはうまくいかないし、最初はパフォーマンスも上がらない。だから、今年1年はそんなに結果が出ないと思います。問題は、それに耐えられるかどうかですね。その時、重要になってくるのがお互いの信頼関係です。結果が出なくても、この人についていっても大丈夫という相互信頼があれば、うまくやっていけます。もちろん、その自信はあります」

 神野のマラソン仕様への改造はトレーニングだけにとどまらない。プロジェクトをスタートさせる前、神野は人間ドックに入り、メディカルチェックを受けた。一般人では何の問題もない数字でもオリンピアンレベルで判断し、低い数字の箇所は改善するようにした。さらに食事や体重管理、サプリメントの摂取などもチェックした。それだけの準備をプロジェクトがスタートする3ヵ月前から行なってきた。

3 / 8

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る