【月報・青学陸上部】「箱根」のメンバーに入ってきそうな1年生は? (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


「高3のとき、大事なときにケガをしたことがあったんです。チームキャプテンでエースとして駅伝を走る予定だったんですが、左すねの疲労骨折で走れなくなって......。それまで骨折なんてしたことなかったんですけど、大事なときに折れてしまった。本当に悔しくて情けなかったです。それからはケガをするのが絶対にイヤなので、人一倍ケアには時間を割いています。ストレッチやストレッチボールを使用してかなり入念にしています。一度チャンスを無駄にしたので、箱根ではそのチャンスを失いたくないですからね」

 部内で先輩たちとの競争に打ち勝ち、最終的に"山"を走るためには何が必要だと考えているのだろうか。

「山を走る覚悟が必要なので、そのためにはまず練習ですね。テーマと意義をもって練習します。それに強い先輩方がたくさんいるので勝負にこだわって、学内TT(タイムトライアル)で常に上位にいられるようにしたいです。そこで下位に落ちるようだと、箱根に出られなくなるので、絶対に負けられないですね。

 ただ、自分はすごく慎重な性格で"石橋を叩いて壊してしまう"タイプなんです。たとえば調子がよくてもっと練習ができるんですけど、ケガが怖いのでセーブしてしまう。終わってから、練習をもうちょいやっていればと後悔することがよくあって......。でも、これからは思い切って走る場面や相当の練習量を求められることもあると思うので、そのときはセーブせずに、全力でやっていきたいと思います」
 
 おとなしげな表情の裏にある大の負けず嫌い。それは箱根を走るには必要な要素でもある。果たして、1年生で神野の後継者となるのだろうか。それとも彼を超える新たな山の神となるのだろうか......。

 春からずっと好調を維持しているのが鈴木である。4月世田谷記録会の5000mで14分11秒57の自己ベストを更新すると、4月30日の日本選抜陸上和歌山でも4秒タイムを縮めて自己ベストを更新。5月22日、関東インカレでは13分58秒48というタイムで3位に入り、先輩たちの度肝を抜いた。さらには6月のアジアジュニアで優勝するなど、ルーキーながら抜群の安定感と突出した活躍を見せ、夏を越えた。

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