びわ湖マラソンでキーマンとなるのは『ペースメーカー』川内優輝? (3ページ目)

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato photo by AFLO

昨年の福岡国際で力を出し切れず、苦悶の表情でレースを終えた川内優輝昨年の福岡国際で力を出し切れず、苦悶の表情でレースを終えた川内優輝 トップ集団のペースは、大会主催者側が出場選手のレベルや気象条件などを考慮して、最終的には大会当日に決定される。海外の招待選手を見てみると、2時間4分49秒の自己ベストを持つタデセ・トラ(エチオピア)は別格だが、2時間6~7分台の記録を持つ選手は3人と、東京に比べてレベルは落ちる。当日の天候次第だが、2時間7分台を狙うようなペースになるだろう。

 3人のペースメーカーは30km地点でレースを去るものの、びわ湖にはレース終盤まで「ペースメーカー役」になり得る選手が出場する。日本人4位と惨敗した福岡国際からの再挑戦を決意した、川内優輝(埼玉県庁)だ。

 選考基準では、選考レースのなかで最初に出場した際の成績だけが評価対象となり、原則として「追試」は認めていない。例外として、日本陸連が設定する派遣設定記録(2時間6分30秒)をクリアすれば、記録突破者のうちから1名が優先的に代表に選ばれる。

 しかし、ベストタイムが2時間8分14秒である川内が設定記録を破るのは非現実的。川内はリオ五輪を目指すというよりも、17年に行なわれるロンドン世界選手権へ向けての第一歩としてびわ湖に出場する意向だという。

 未来を見据える川内が力走を見せれば、それについていくだけで自然と2時間9分を切るペースができあがる。仮に川内に先着されたとしても、福岡国際の日本人トップである佐々木のタイム(2時間8分56秒)を上回れば、びわ湖から「2名」が選出される計算だ。日本陸連が最大3枠にこだわるなら、2時間9分台でも「選ばれてしまう」ことも考えられる。他の日本人選手にとって、川内は思わぬ勝利のカギとなるかもしれない。

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