箱根駅伝予選会、明暗を分けた「10秒」の差はどこにあったのか

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 天国か地獄か。箱根駅伝予選会には今年も"魔物"が潜んでいた。魔の手から逃れたのは、予選通過が危ぶまれていた名門・日本体育大。10000mで28分台の富安央(とみやすあきら)が自主的にチーム第2集団のバックアップに回ったことがプラスに働いた。10km地点で総合14位も、富安が集団から遅れそうな選手に声をかけるなどして最終ラインを押し上げる。徐々に順位を上げていき、堂々3位で68年連続出場を決めた。

雨が降りしきる中、今年も熾烈なレースが展開された雨が降りしきる中、今年も熾烈なレースが展開された 一方で、魔物の餌食となったのが國學院大と国士館大だ。國學院大はエースの蜂須賀源(はちすかげん)がエントリーから外れたとはいえ、10000m29分台が25人という選手層は予選会出場校でナンバーワン。前田康弘監督が「大丈夫だという過信があった」と話すように、10kmの通過が予定よりも10秒ほど早くなり、得意としていた集団走が崩壊。まさかの13位で落選した。

 また、国士館大は9位の東京国際大、10位の上武大に終盤に逆転を許して11位となり、「10枚」ある本戦へのチケットを逃した。明暗を分けたのは、わずか10秒という差。今回もドラマチックな展開になったが、ボーダー付近の戦いをクローズアップすると、成功と失敗の差が浮き彫りになってくる。今回の勝負どころはラストの数kmにあった。

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