【マラソン】野口みずきが完全復活へ。「信じてやっていれば奇跡は起きる」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nakamura Hiroyuki

1年振りのフルマラソンで好成績を残した野口みずき1年振りのフルマラソンで好成績を残した野口みずき
「恐る恐る走っていた去年の名古屋の頃とは違う。今は戦える状態になっているし、以前の状態に少しずつ戻りつつある」とシスメックスの広瀬永和監督が話し、野口みずき自身も「早く走りたくてワクワクしている。優勝と2時間23分台を狙いたい」と大会2日前の記者会見で語っていた、3月10日の名古屋ウィメンズマラソン。

 レースは気温15度、湿度36%でほぼ無風という絶好の条件でスタートした。

「最初は我慢してペースメーカーに任せ、様子を見ながら自分の走りやすい位置で走った。集団の左側にいたが、それは給水を取りやすいようにと思って......。アフリカ勢は給水の時に一気に前に出てくるので危なかったが、それも冷静に見ていられたのが去年と違うところ。去年の私はアフリカ勢と同じようなことをしていましたから」

 こう話す野口は、ペースメーカーのすぐ後ろに位置してレースを進めた。そして中盤からは横に並びかけてレースを支配する。それもあってペースメーカーも、5kmを16分53秒から17分台ひと桁台の安定したペースで走り、レースは進んだ。

 レースが動きかけたのは、最後に残ったペースメーカーが外れる少し前の29km付近だった。それまで余裕を持って走っていた19歳のベルハネ・ディババ(エチオピア)が仕掛けて前へ出た。30km通過で野口と木崎良子に3秒ほど先行する。しかし冷静に対処した野口はその差をジリジリと詰め、31km過ぎで追いついたのだ。

 しかし野口もまだ万全ではなく、不安を残していた。1月半ばの都道府県対抗女子駅伝は直前に体調を崩して欠場。その後予定していた大阪国際女子マラソンも昨年に続いて回避していたからだ。

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