「ユニバーサルリレー」って何だ?多様性を象徴する種目の魅力とは (4ページ目)
■悲願のメダルに向け、進められる強化と対策
URは障がいや性別のルールもあり、選手をどう起用するかの戦略が重要だ。また、幅広い障がいクラスでの強化が欠かせないため、総合力も問われる。日本は今季から本格的に強化を進め、各走順2人ずつの計8人を強化選手に指定。数回の合宿を実施し、タッチワークの精度向上などに努めてきた。メンバー間の走力差があるのも特徴で、速い選手から遅い選手へ、あるいはその逆にも難しさがある分、工夫次第で強みにも変わる。タイムロスの少ない最適なチェックマークの位置を根気よく探る努力が続けられている。
タッチ技術の向上も不可欠だ。日本は今、タイムアップを目指し、立位の選手は肩や背中に触れるのでなく、互いに手と手を伸ばすタッチ練習も始めている。できるだけ走りに影響しないよう、「手を伸ばすのは一瞬だけ、パンパンとできれば」と高野コーチは期待する。塩川ガイドは「タッチワークは日本の武器」、井谷も「ベースはできてきた」と手ごたえを語る。
選手たちにはURに寄せる別の期待もあるという。「さまざまな障がいのある選手が一緒に走るパラ陸上の象徴」「URが、多様性を認める社会のきっかけになれば」など社会に向けたメッセージ性だ。
さまざまな可能性を秘めたUR。日本チームの成熟とともに、今後の発展に大いに注目したい。
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