ゴールボール男子日本代表、メダルを狙った世界選手権で無念の9位 (3ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • photo by JAPAN GOALBALL ASSOCIATION ICHIKAWA RYO

 1994年生まれの川嶋は、小学4年の時に網膜色素変性症を発症し、視力は下がり、視野も狭まった。現在の見え方は横長のドーナツのような状態だという。野球少年だった彼は、盲学校でゴールボールに出会う。持ち前の運動能力ですぐに頭角を現し、2013年にはユースの国際大会で金メダル獲得に貢献。その後はトップチームに上がり、今では主力として欠かせないひとりとなった。

 16年3月に筑波大学附属視覚特別支援学校を卒業後、4月にアシックスジャパンにヘルスキーパーとして入社。学生時代よりも練習に集中できる環境となり、「結果で恩返ししたい」と意気込む。

 身長160cmと小柄なため、海外勢のパワーに力負けしないよう筋力や体力トレーニングにも精力的に取り組む。最近は「手先や足先だけでもボールを押し返す力」や「1試合フル出場しても疲労しない体力」がついてきた実感があるという。

 また、センターとしての成長に欠かせないのは、速い、伸びる、弾むなど、さまざまな「質」のボールをたくさん受ける経験だ。国内で仲間たちのボールを受けるだけでは球種が限られるため、昨年から自主的に海外武者修行も始めている。

 3月にはアジア王者の中国に1週間滞在。11月にはリオパラリンピック金メダルのリトアニアチームの門も叩いた。長身でパワーのある選手たちのボールは、「スピードやバウンドの高さ、手元で伸びてくる感覚など、日本国内では受けられない、中国とも違う種類だった。狙ったコースへの正確性や大事な場面でしっかり決める精神力など見習うべきものも多く、貴重な2週間だった」振り返る。

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