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チェアスキー森井大輝、
滑降から回転まで「オールラウンダー」の誇り (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • photo by Photo Service One/Uehara Yoshiharu

 初出場のソルトレーク大会から16年。いまなお世界のトップであり続け、4大会連続でメダルを手にしたことは、快挙といっていい。

 それでも本人は満足せず、滑降の後もあえて「金メダル獲得」を公言してきた。そこには、応援してくれた人たちに金メダルで恩返しをしたいという思いがあったからだ。

「僕が速くなったのは、才能があったからじゃない。たくさんの方々に支えてもらったからです」と森井は言う。

 チェアスキーは、シート、フレーム、サスペンションから構成される。森井は、以前からこのチェアスキーの開発に取り組んできたが、ソチ大会のあとアスリート雇用でトヨタ自動車に入社すると、トヨタの技術者たちの力を結集した世界最速の平昌モデルを完成させた。ミリ単位のセッティングが可能となり、森井は感覚とデータを照らし合わせながら、本番直前まで微調整を繰り返した。

 優勝を逃したことで、「セッティングにこだわりすぎたと言われかねないのでは? 」という報道陣の質問に、森井はこう言い切った。

「ソチが終わって何も手を加えないで挑んでいたら、また、セッティングにこだわりすぎなければ、今回の滑降は表彰台に上がることはなかった。"チーム森井"のみなさんの技術、そして仲間と戦えたことが僕の誇りです」

 思うような成績が残せなかったことは、「本当に残念だし、つらい」と森井。「自分に勝つことができたかといえば、"引き分け"くらいだと思います」と苦しい胸の内も明かす。

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