「普通の人」が金メダリストに。ゴールボールが変えた、浦田理恵の毎日

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 竹藤光市●写真 photo by Takefuji Koichi

 ゴールボールは視覚がい者のリハビリ用に考案されたパラリンピック特有のチーム球技だ。1チーム3人で対戦し、サッカーゴールに似た相手ゴールに向けてボールを投げ合って得点を競う。

ゴールボールに出会い、生活や考えにも影響があったという浦田理恵ゴールボールに出会い、生活や考えにも影響があったという浦田理恵 視覚障がいといっても、「見え方」は選手によってさまざま。公平を期すため、ゴールボールでは全員がアイシェード(目隠し)をして、完全に視覚を遮断した上でプレーする。暗闇の中にいる選手の頼りは、「音」。鈴が内蔵され、転がると音が鳴るボールや仲間の声、相手の足音や気配などをヒントに、攻めて、守る。

 2012年ロンドンパラリンピックで、日本女子チームは世界の頂点に登りつめた。決勝戦で、王者中国の猛攻を完封し、先制点を守り切っての勝利だった。歓喜の瞬間、日本のセンターにいたのが堅守日本の要、浦田理恵だ。

 連覇を狙った2016年リオ大会で日本は、中国に準々決勝で敗れ、5位という結果に終わったが、キャプテンという立場も加わった浦田は、まさに軸となってチームを率いた。その技量やリーダーシップで多くの後輩から、「憧れは浦田さん」と目標にされる存在でもある。

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