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「転向者さん、大歓迎」。夢への扉を開く。
パラアスリート発掘事業 (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text&photo by Araki Miharu
  • photo by Press Association/AFLO (山崎晃裕選手)

 今年のパラ陸上日本選手権にも出場した両足義足の片岡勇人さんは、選手発掘イベントに初参加。もともとサッカーをしていたが、21歳の時にひざ下を切断。その後、アンプティサッカー(上肢または下肢に切断障がいがある人が行なうサッカー)とパラ陸上に取り組んでおり、この日は「新たな可能性を探しに来た」という。全身を使う種目とラケット競技に関心を持ち、パラローイングと卓球などを体験した。「こうした機会があるのはとてもありがたい。納得いくまで探したい」と意欲を見せていた。

 また、左上肢に障がいがある足立悠都さん(15歳)は、昨秋に東京で行なわれた発掘イベントに続き、2度目のエントリー。前回はパラ陸上の走高跳びの適性を見出され、今年の日本選手権にも出場した経験を持つ。今回は、「他の競技も見てみたい」と参加を決め、複数の競技に積極的に挑戦していた。付き添いの男性によると、足立さんにはある変化が見られるという。「去年のイベントは、彼の母親の勧めで参加したんですが、障がいがプラスになることがわかり、自信がついたのか、それ以降はすべて自分で考え、行動するようになりました」。

 一方の競技団体側は、ブースにパンフレットや体験用の道具を用意して、参加者にアピール。パラテコンドーのブースでは、全日本テコンドー協会の高木伸幸パラテコンドー委員長自ら競技の映像を参加者に見せたり、蹴りの体験で直接指導したりと孤軍奮闘。足立さんを含め、複数の男性が体験希望を申し出て、真剣な表情で取り組んでいた。

 パラテコンドーは2009年に初めて世界パラテコンドー選手権が実施された新しいパラスポーツだ。世界の競技人口は300人程度とされるが、国内では3年後の東京パラリンピックにおける競技採用をきっかけに、本格的な普及と選手育成が始まったばかりで、競技者は今のところ男子選手2人のみ。現在は別の発掘イベント等で見出された数名の新人選手が練習を始めているが、他の競技団体と比べても圧倒的に選手数が少ない。とくに女子選手は今のところ誰もいない。

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