大分国際車いすマラソン優勝の佐藤友祈、「東京では金メダル獲ります」

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 越智貴雄●写真 photo by Ochi Takao

 10月30日、秋晴れの大分市内で行なわれた「大分国際車いすマラソン」は、今年で36回目を迎えた。1981年の国際障害者年を記念して、世界初の車いすだけのマラソン大会としてスタートし、障害の程度別に3クラス(T51、T33/52、T34/53/54)でマラソンとハーフマラソンの2種目が実施される規模の充実ぶりは世界的にも珍しい。これまでに国内外からのべ1万人以上が参加しており、マラソンの世界記録も男女ともにこの大会で生まれているほど、レベルの高い"オーイタ"は、世界の車いすランナーの憧れでもある。今年も、9月に開催されたリオパラリンピック出場選手も多数含む、18カ国からの259選手がエントリーしてきた。

フルマラソン2度目で初優勝を果たした佐藤友祈選手フルマラソン2度目で初優勝を果たした佐藤友祈選手 障害が最も軽く、最速の男子T34/53/54クラスの戦いは今年、ドラマティックな展開となった。リオ大会のマラソン金メダリストで、大会7連覇を狙っていたマルセル・フグ(スイス)がアクシデントで序盤にリタイアする波乱があったなか、リオで12位だった50歳の山本浩之が1時間26分02秒で初優勝を飾る。出場25回目にして悲願の初優勝、さらに日本勢の優勝は2006年の笹原廣喜以来、10大会ぶり2人目という快挙だった。1秒差の2位には、山本と最後までデッドヒートを繰り広げた若きホープ鈴木朋樹が、3秒差の3位にはリオでは自転車競技(ハンドサイクル)の金メダリストだった、エレンスト・ヴァン・ダイク(南アフリカ)が入る接戦でもあった。

 T34/53/54クラスの熾烈なトップ争いに競技場の興奮が収まらないなか、懸命の走りでフィニッシュし、少し障害の重いT33/52クラスを制したのは佐藤友祈(ともき)だった。リオパラリンピックでは、初出場ながら400mと1500mで銀メダルを獲得、20年東京大会でさらなる飛躍が期待される逸材だ。

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