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東京パラリンピックに向けて。障がい者スポーツの現状 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Igarashi Kazuhiro(人物), AFLO

――その中継はうまくいきましたか?

伊藤 はい。金沢で見ているその選手のお母様が、パソコンの前で観戦中の写真を送ってくださいました。その写真に写っていた彼はユニホームを着ていたのです。一緒に戦っているんだ、と生中継の醍醐味を感じました。

――その後も、インターネット中継は続けたのですか?

伊藤 翌年は主催の電動車椅子サッカー協会からの依頼で、その次の年は知り合いのチームの選手から「今年もあるって噂で聞いたんですけど」って(笑)。でも、そうやってまた見たいって期待してくれる人がいるんだと気づかされた一言でした。中継をどれだけの人が見ているかなんてカウントしていなかったんですが、これは続けよう!と決めたんです。

――そこから活動が始まり、今のNPO法人STANDになったんですね。

伊藤 そうです。3回目の中継を決めたときに法人化をしました。今はインターネット中継のほかに、ウェブサイト「挑戦者たち」の運営、障がい者スポーツの体験会の主催の3つが主な活動になってます。

――順調に活動の輪を広げている一方で、障がい者スポーツならではの壁を感じたことはありますか?

伊藤 インターネット中継をしているからだと思いますが、「障がい者をさらしものにしてどういうつもりだ」と言われたことがあります。喜んでくれる人がいるという思いで中継をしていたので、さらしものにしている意識はもちろんありませんでした。なのですごくびっくりしたというか、考えさせられるきっかけになりました。

――これを言った方も、ここまでに辛い思いや経験をしてきたのかもしれないですね。

伊藤 そうですね。子どもだったり、家族を守るために言った言葉なのかもしれません。実は選手からは1度もやめてと言われたことがなくて、インタビューや中継に行くと、「もっと出して」って言ってくれるんです。やっぱりスポーツって見てもらうものじゃないですか。大会に出ている選手にとっては、観客はいたほうがいいし、写真が載ったらうれしいもので、そこは全く(健常のスポーツと)変わらないと思います。

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