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「執念深さだけで会計士の資格を取った」ボートレーサー・渡邉雄朗が掲げる目標までの長い道のり

  • 杉田純●取材・文 text by Sugita Jun

最高ランクA1級で活躍する渡邉雄朗 photo by Ishikawa Takao最高ランクA1級で活躍する渡邉雄朗 photo by Ishikawa Takao

文武両道の裏側 第23回
渡邉雄朗(ボートレーサー)後編(全2回)

【ボコボコにされてきた】

 現役ボートレーサー・渡邉雄朗は、ボートレース界で最高位のA1級として第一線で活躍していながら、かつて公認会計士だったという経歴を持っている。これだけ聞けば、渡邉が世間で言う文武両道の「天才」なのだと思うかもしれない。

 だが、それは少し違う。渡邉の人生をひも解くと非常に泥臭く、愚直な道をたどってきている。それにとどまらず、渡邉は大学入試でも、公認会計士試験でも、いつも入口の段階でつまずいている。本人の言葉を借りれば「ボコボコにされてきた」経験ばかりだ。

ただ、「執念深さはあります。そこだけで会計士の資格は取ったと思っています」と、渡邉は自らを評した。

 前編でも触れたが、渡邉は大学受験の際に1年浪人している。当時については「受験をなめていたっていうのもあるんですけど、絶対受かるだろうなってところを落ちて、ちゃんとやんなきゃダメだって思った」と振り返っている。

 次に法政大学時代に挑んだ会計士試験だが、驚くことに難関資格にもかかわらず「どうせすぐに受かるだろう」と思って半年での合格を目指していた。当然一次試験で不合格となったところで、やっと本腰を入れた。

 その後は熱中していたボクシングを辞め、その熱量をすべて会計士試験の勉強に注ぎ、大学在学中に合格してみせた。

 挫折してから驚異的な熱量と集中力、継続力で壁を越える。これが渡邉のスタイルだが、それはボートレースの世界に入ってからも同じだった。

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著者プロフィール

  • 杉田 純

    杉田 純 (すぎた・じゅん)

    1996年生まれ、東京都出身。大学卒業後、金融機関勤務を経てボートレース専門紙「ファイティングボートガイド」の記者に転身。現在はボートレース取材の傍ら、野球の記事執筆も手掛け、12球団合同トライアウトは22年から3年連続で取材。目標はこの欄で紹介できるような著書を書けるようになることと、舟券の年間回収率100%超え

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