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ガールズケイリン専念で梅川風子が目指す次なる目標 現実を受け入れられなかったパリ五輪落選 (4ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro


「自分自身を認めたい」と語る梅川 photo by Gunki Hiroshi「自分自身を認めたい」と語る梅川 photo by Gunki Hiroshiこの記事に関連する写真を見る

【GIで強さを見せたい】

 ナショナルチームで過ごした時間で得たのは結果にこだわること。過程は大切にしながらも、その過程も結果を出さないことには評価されない。だからこそ結果にこだわり続けなければならない。その一方でオリンピックを目指し、ストイックに取り組んだ歩みは間違っていなかったという思いもある。

「やるだけやったとはまだ言い切れませんが、自分自身を認めたいという思いもあります。代表選考で負けて苦い経験をしましたが、苦しい戦いのなかでも何回か勝つこともできましたし、恵まれた機材で走れる喜びもありました。これらは誰しもが味わえるものではないので、いい経験をさせていただいたと思っています」

 世界で戦った脚をガールズケイリンへ。次なる目標はガールズグランプリ制覇かと思いきや、本人は違うところに目線を向けている。

「もちろんガールズグランプリは最高峰の素晴らしい舞台。ただそこに至るまでの戦いも大切だと思っていて、私はまずGIでの優勝を目指したいです。グランプリは一発勝負ですが、GIは3日間を勝ち上がっていくレースで、その過程を見ながら、決勝でどんなレースをするかが面白いと思いますし、GIは運だけでは勝てません。自転車競技も何本も走ってファイナルまでたどり着く戦いだったので、その経験が生きると思います」

 GIを勝ち続け、すべて制すればグランドスラムという夢にもたどり着くが、「今はそこまでは考えていません」とまずは目の前の大きなレースに集中しながら戦っていくつもりだ。

 梅川が生まれた日は風が強かったことから、「風子」と名付けられたという。世界を巡ってきた風は、これからは日本のバンクの中で吹き荒れることになるだろう。


【Profile】
梅川風子(うめかわ・ふうこ)
1991年3月1日生まれ、長野県出身。4歳の頃からスケートを始め、スピードスケートの選手として全日本学生スピードスケート選手権500mで優勝を飾る。24歳でスピードスケートを引退して日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)へ入学。26歳でデビューし、翌年にはガールズグランプリに初出場する。2023年11月のGⅠ開催「競輪祭女子王座戦」で優勝してガールズグランプリに出場し2着に。ナショナルチームにも所属し、2024年10月の世界選手権の女子ケイリンで5着となる。同年11月に自転車競技から引退した。

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