世界女王の佐藤水菜が競輪祭女子王座戦で完全優勝! ガールズグランプリへ向け「もう一度基礎から作り直す」と連覇狙う (2ページ目)

  • ハル飯田●取材・文 text by Haru Iida

【外を回っても異次元の豪脚】

 迎えた決勝戦。レースは号砲を受けてするりと飛び出した太田が「(先頭誘導選手と)車間が空いているのが見えたので、ペースを上げた」と、石井貴子(千葉・106期)を連れて大きくリードを取る。佐藤は5番手で追走しながら、世界選手権の決勝でも対戦した梅川のスピードを警戒しつつ勝負所を探っていた。佐藤の後ろの6番手には、またしても當銘がついた。

 残り1周。勝負を仕掛けた梅川が先頭に並びかけると、負けじと太田も加速。ここでようやく佐藤もスピードを上げるが、外を回っている影響もあり思ったほど差は縮まらない。バックストレッチを過ぎ「もしかしたら」という空気が流れかけた第3コーナー、逃げ切らんともがく選手たちが遂に佐藤の豪脚に飲み込まれていく。

 佐藤は瞬く間に梅川と石井を追い越すと、なおもすさまじい粘りで先頭を走る太田を直線で捉える。完璧なマークで追いこんできた當銘をも振りきり、3/4車身のリードを奪って先頭でゴール板を駆け抜けた。

 終わってみれば、外を回りながらも長い距離を踏み続けて勝ち切る佐藤のポテンシャルの高さが際立つレースに。ウイニングランでゆっくりバンクを周回する佐藤には、競輪発祥の地として知られる小倉に集まった大勢のファンから大きな拍手と歓声が送られた。そのひとつひとつに手を振るようにして爽やかな笑顔で応じる姿には、貫禄すら感じられた。
優勝後、客席の歓声に応える佐藤 photo by Takahashi Manabu優勝後、客席の歓声に応える佐藤 photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る

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