パリオリンピック 江村美咲がリベンジを誓う女子サーブル団体、男子フルーレ団体展望 東京五輪金の宇山賢が解説 (4ページ目)

  • 宇山賢●文 text by Uyama Satoru

【トーナメントの展望は?】

 個人戦ではメダルを逃しましたが、世界1位のチームはもちろんメダルの有力候補です。

 日本は初戦の準々決勝で、世界ランキング16位のカナダと対戦します。日本チームが総合的に優っていると見ていますが油断は禁物。団体戦は序盤の立ち上がり次第で大きく展開が動きます。しっかりと1点ずつ積み上げ、準決勝に駒を進めたいところです。

 準決勝では、フランス対中国の勝者と対戦することになります。フランスが優勢と予想していますが、中国が勝ってもおかしくありません。フランスは選手の能力だけでなく、開催国ならではの大歓声が生み出す力も驚異。対する中国もアジアのライバルとして互いの手の内を知り合うだけに、やりにくさはあるでしょう。いずれにしても難しい戦いになるでしょうが、乗り越えてほしいですね。

 決勝の相手はイタリアかアメリカになるでしょうが、私はイタリアが勝ち上がってくると予想しています。日本は昨年11月のW杯(イスタンブール・トルコ)の決勝でイタリアに敗れています。

 ショー的な要素がある剣さばきが特徴で、トマゾ・マリニ選手が個人戦で銀メダルを獲得したことも追い風になっています。ただ、飯村選手を破ったニック・イトキン選手を擁するアメリカも十分に強い相手なので、どちらと対戦することになったとしても集中力を切らさず、勝利をつなげてほしいです。

 パリ五輪のフェンシング団体戦も終盤に入りました。ここまで、日本フェンシングの強さを証明してくれた他種目の選手たちの力をもらいながら、夢、目標に向かって集大成を見せてくれることを期待します。「JAPAN FENCING TEAM」がどう戦いきるか。非常に楽しみです。

<団体戦で対戦の可能性がある国との近年の戦績>

2024年1月:W杯(パリ・フランス)フランス45-43○

2023年12月:W杯(常滑・日本)カナダ45-24○、フランス42-45●

2023年11月:W杯(イスタンブール・トルコ)カナダ45-27○、中国45-36○、イタリア41-45●

【プロフィール】
宇山賢(うやま•さとる)

1991年12月10日生まれ、香川県出身。元フェンシング選手。2021年の東京五輪に出場し、男子エペ団体において日本フェンシング史上初の金メダルを獲得。同年10月に現役を引退。2022年4月に株式会社Es.relierを設立。また、筑波大学大学院の人間総合科学学術院人間総合科学研究群 スポーツウエルネス学学位プログラム(博士前期課程)に在学中。スマートフェンシング協会理事。スポーツキャリアサポートコンソーシアム•アスリートキャリアコーディネーター認定者。

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