東京六大学「蓋」野球2連覇中! 東大生たちが「キャップ野球」にかける、ゆるさと情熱の間にある青春 (2ページ目)

  • 小林 悟●取材・文 text by Kobayashi Satoru
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

【キャップ独特の変化球が楽しい】

 試合も組みやすい。1チーム5人、登録できる指名打者を含めても8人だ。となると、レギュラー争いも厳しいのだろうか。

「新入生の誘い文句は、『サークルに入って練習に来たら試合に出させてあげるよ』ですね(笑)。キャップ野球の醍醐味はピッチング。なので、みんな投げたがるんですよ。ルール上、ピッチャー交替がしやすいこともあり、試合ではなるべく継投して、みんながマウンドに立つ機会を得られるようにしています」(九町さん)

東京大学キャップ投げサークルのメンバーたち。上段左から時計回りに、高い制球力を誇るスーパールーキーの諌見祐人さん、豪速球の大型右腕の松浦央尚さん、安定感のあるピッチングで打たせてとるタイプの九町健太郎さん、主砲のひとりである安達雅人さん、正捕手でナックルボーラーの升公士朗さん、技巧派左腕の田中琢真さん東京大学キャップ投げサークルのメンバーたち。上段左から時計回りに、高い制球力を誇るスーパールーキーの諌見祐人さん、豪速球の大型右腕の松浦央尚さん、安定感のあるピッチングで打たせてとるタイプの九町健太郎さん、主砲のひとりである安達雅人さん、正捕手でナックルボーラーの升公士朗さん、技巧派左腕の田中琢真さんこの記事に関連する写真を見る

 メンバーの肩が温まってきたところで、それぞれが得意な球種を試す。なかでも一段と速いストレートを投げ込んでいたのが2年生エースの松浦央尚さん。長身で踏み込みが深く、リリースポイントが打者に近い。カーブ、フォーク、チェンジアップなど変化球も見事だ。

「1年生の時は野球とゴルフサークルに入っていたんですが、大学でしかできないことをしたいと思い、今年になってからキャップ野球を始めました。野球と違って使用する道具が軽く、そこまで筋力がいらないところも気軽でいいですね。魅力はなんといっても、キャップでしか投げられない大きな変化球です」(松浦さん)

 キャップの握り方や腕の振り方などアイデア次第で新たな変化球が生まれる可能性もある。

「じつは4年生が生み出した魔球があるんです。3本指で挟み、人差し指と中指で弾き出すと、最初は真っすぐの軌道なのにバッターの手前でスッと落ちていくんです。逆回転系のカーブですね」(九町さん)

ゆるい雰囲気がありながらも夢中でキャップを投げ、打っていたゆるい雰囲気がありながらも夢中でキャップを投げ、打っていたこの記事に関連する写真を見る

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