「1日3時間勉強したからといって五輪の結果は変わらない」五十嵐カノアが挑むサーフィンとハーバードの文武両道 (3ページ目)
【毎日1パーセントずつでも夢に近づく】
ーー五十嵐選手は、SDGsにも興味を持ち海洋保全活動もされています。そういったこととビジネススクールでの学びをリンクさせていく考えですか?
ハーバードではビジネスのことを勉強していて、海洋保全活動やその方法についてアイディアはいっぱい出てきているけど、まだ勉強中なので、もっともっと勉強して、しっかり考えをまとめていけたらと思っています。会社やお金の流れとか、これまでに知らなかったことを学べて、おもしろくなってきたところです。
ビーチでの美化活動にも取り組んでいる photo by SHISEIDOこの記事に関連する写真を見るーー文武両道を目指す人々へアドバイスをもらえますか?
本当にバランスがすごく大切だなって思います。努力しているスポーツも大切ですし、それ以外の勉強の時間も大切だし、家族との時間も大切だし、友達との時間も大切だし、自分の仕事の時間も大切ですし、バランスを一番大切にしていくのがいいと思います。
勉強をしないといけない、というより僕は知識欲が深い。知識が深まれば、そこから、いろんなことが広がっていくイメージで、一日一日楽しんでいます。楽しみながらネバー・ギブ・アップの気持ちで、毎日1パーセントずつでも夢や目標に近づいていくことが大事だと思っています。
ーー最後に、2024年の目標、さらには将来の夢をお願いします。
2024年の目標は、パリ五輪の金メダルとWSLチャンピオンシップ・ツアーでの世界チャンピオンになることです。試合やトレーニングで世界各地を巡っているなかで、大会に勝つだけではなく、海を守ることも大切だと強く思うようになってきています。
将来的には環境を守るために、ペットボトルを少なくしたり、海に行った時にはゴミを拾ったり、そういうちょっとした心がけをより多くの人が持つことで大きな変化を起こせると思います。そんな影響を与えていきたいという夢があります。夢はひとつだけじゃなくてたくさんあります。
昨年12月に開かれた、海洋保全活動「SHISEIDO BLUE PROJECT」のクリスマスイベント photo by Sportivaこの記事に関連する写真を見る
【プロフィール】
五十嵐 カノア いがらし・かのあ
1997年、アメリカ生まれ。3歳の時、父親の影響でサーフィンを始める。11歳の時、NSSA主催の大会で、1シーズン中の最多勝となる30勝を記録。14歳の時、USA チャンピオンシップ U-18を史上最年少で優勝。2016年には史上最年少かつアジア人選手で初めてプロサーフィン世界最高峰のWSLチャンピオンシップ・ツアーに参戦。翌2017年、地元ハンティントンビーチで開催されたWSL VANS US オープンで優勝。2021年には東京五輪で銀メダル。2022年にはISA ワールド サーフィン ゲームスを制し、ワールドチャンピオンに輝く。木下グループ所属。
著者プロフィール
門脇正法 (かどわき・まさのり)
マンガ原作者、スポーツライター。1967年、埼玉県生まれ。日本女子体育大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了。アニメ『ドラゴンボールZ』の脚本家である小山高生氏からシナリオを学び、マンガ原作者デビュー。特にスポーツアスリートの実録マンガを得意としており、『世界再戦ー松坂大輔物語ー』(集英社/少年ジャンプ)、『好敵手ー室伏広治物語ー』(同)、『闘球「元」日本代表ー福岡堅樹物語ー』(集英社/ヤングジャンプ)の原作を担当。現在はマンガの原作だけでなく、「少年ジャンプ」のスポーツ記事特集『ジャンスタ』を中心に、『webスポルティーバ』の「文武両道の裏側」など、スポーツライターとしても活躍中。著書に『バクマン。勝利学』『少年ジャンプ勝利学』(ともに集英社インターナショナル)などがある。
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