フィジーク界のスター・直野賀優「評価されないフラストレーションは努めて飲み込む」 国内4連覇、世界一へ「一番に飢えている」 (2ページ目)

  • 武松佑季●取材・文 text by Takematsu Yuki
  • 柳岡創平●撮影 photo by Yanaoka Sohei

【絶対王者のイメージを植えつける】

ーー2022年は「オールジャパン」で新設された180センチ超級を制し、コロナ禍で大会のなかった2020年をまたいで階級別3連覇を達成(2019年、2021年は176センチ超級)。「ガリガリだった」という大学時代から、本格的に"魅せる体"をつくるためにトレーニングを始めて約10年。今シーズンも盤石かと思います。

 いえ。まったくそんなことはなくて、むしろ背水のシーズンだと思ってます。

ーーと、言いますと?

 オーバーオール(※無差別級。「オールジャパン」など主要コンテストでトップ3に入った選手に参加資格が与えられる「JBBFフィットネス ジャパン グランド チャンピオンシップス」にて競われる)では、(176センチ以下級王者の)伊吹主税選手に敗れて2位でしたし、あらゆる大会で優勝するような状況をつくらないと、負ける可能性がある選手というイメージが、審査員にもついてしまう。

この記事に関連する写真を見るこの記事に関連する写真を見るーー負ける可能性がある選手?

 ボディメイクのコンテストは記録や点数ではなく審査競技。人間が審査するから好みやイメージに左右されることもあると思うんです。

 だから勝ったり負けたりしていたら、審査員から「負けを与えてもいい選手」という印象になって不利になる。伊吹選手も「グラチャン」での優勝は1回目だし、まだまだ巻き返せる。絶対王者というイメージを審査員やお客さんに植えつけることを考えると、今年は勝負の年であり、背水のシーズンになるという意味ですね。

ーー審査競技ではイメージが大事なんですね。

 自分なりの最善のトレーニングや食事で、毎年必ず前年よりもいい体をつくれている自信は持っています。それをもってしても、審査員から一番いい評価をもらえるわけではないんです。それどころか、前年よりも評価が下がることもあって、それがメンタルに一番こたえます。

 だから評価というものは分けて考えるようにしていて、評価されないことへのフラストレーションは、努めて飲み込むようにしています。正直、結果が出なかった時に言い訳したいことはいっぱいあるのですが、負け惜しみに聞こえてダサいので(笑)。ここでは言いません!

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