フィジーク界のスター・直野賀優「評価されないフラストレーションは努めて飲み込む」 国内4連覇、世界一へ「一番に飢えている」 (3ページ目)

  • 武松佑季●取材・文 text by Takematsu Yuki
  • 柳岡創平●撮影 photo by Yanaoka Sohei

【優勝しないと満たされない、一番に飢えている】

ーー昨年の「オールジャパン」180センチ超級では予選、決勝ともすべての審査員が1位とする満票優勝。他を圧倒しました。

 去年は単純に気持ちをしっかりのせて減量したし、体のしぼりの部分もよく仕上がっていたからいい評価につながったんだと思います。

 僕はJBBFのメンズフィジーク競技界のなかでボリューム、バルク(重厚感)、ポージングに関しては、ある程度満たしつつあるんじゃないかと。でも、人によっては僕以上の選手がいると思う人もいるだろうから、その時点では絶対王者じゃない。そこは追求したいですね。

ーーしかし、今年8月4日の「スポルテック カップ」ではオーバーオール4位、8月28日まで開かれていたアジア選手権でも4位となってしまいました。

 必ず優勝する気持ちで臨んだだけに、負けがこんでいるのはまずいですね。とにかく、これからも一つひとつのコンテストで勝ちにいく。それだけです。

8月の「スポルテック カップ」に出場した直野 写真/本人提供8月の「スポルテック カップ」に出場した直野 写真/本人提供この記事に関連する写真を見るーー今後の目標は?

 いずれは世界選手権のオーバーオールを勝ちたい。それが僕のなかでの、達成しなくてはいけないタスクに近いものになっていて、意地になっている。

 だから現状は競技を楽しめている実感もないし、つらいことばかり。世界一を達成してはじめてトレーニングを楽しむとか、新しく何かに向けてがんばるとかって目標や欲求が生まれてくるんだろうなと思います。

この記事に関連する写真を見るーーあくまで1位にこだわる、と。

 僕は今まで一番になったことがない、劣等感の塊のような人生だった。階級別でいくら優勝しても「グラチャン」やアジア、世界選手権で優勝しないと満たされない。それくらい一番に飢えているんです。

ーー後編では、自身が「劣等感の塊」と語るその人生をさかのぼります。

後編<「劣等感の塊」だったガリガリモデル→フィジーク王者に! 直野賀優「見返してやるぞって気持ちでやれているんです」>を読む


【プロフィール】
直野賀優 なおの・よしまさ 
1991年、宮崎県生まれ。筑波大学在学中からトレーニングを始める。JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)主催の「オールジャパン フィットネス チャンピオンシップス」フィジークカテゴリーで2019年、2021年は176センチ超級で優勝、2022年は新設された180センチ超級で優勝。

プロフィール

  • 武松佑季

    武松佑季 (たけまつ・ゆうき)

    雑誌ライター。1985年、神奈川県秦野市生まれ。編集プロダクションを経てフリーランスに。インタビュー記事を中心に各メディアに寄稿。東京ヤクルトファン。サウナー見習い。

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