「フェンシングはなんとなくやっているだけだった」少女が世界一になるまで。江村美咲を本気にさせたライバルたちの存在 (4ページ目)
【多忙な大学時代に「一番伸びた」】
ーー大学生活はどうでしたか?
寮から大学まで、ドアツードアで片道2時間くらいかかったんですが、練習して、授業に行って、また練習して、みたいなけっこうハードな感じでした。昼ご飯も駅のホームで食べるような生活を送ってたんです。
大変だったけど、自分のなかではわりと充実していたというか、それだけ頑張ってやれているという納得感もありました。
時間は限られましたが、授業がある日は友達と会えることがいい気分転換になっていたのかなと。
フェンシングは、コーチが私に練習時間を合わせてくれたりして、集中してやらなきゃという意識は高まっていたと思います。一番伸びたのは大学の時でした。自由にやれる環境がよかったのかな。
この記事に関連する写真を見るーー学部は法学部でした。勉強のほうは?
法律系の授業はめちゃめちゃ難しかったですね。わからないから頑張って授業に出るんですが、出てもわからないっていうのが本当に困りました(笑)。
でも英語は案外得意なのかなと思いました。海外での試合をたくさん経験してきたのもあったのかな。
ーーインタビュー後編では、東京五輪後の進化やパリ五輪に向けた思いを聞いていきたいと思います。
後編につづく>>
【プロフィール】
江村美咲 えむら・みさき
1998年、大分県生まれ。父・宏二は1988年ソウル五輪フルーレ代表、母・孝枝はエペで世界選手権に出場。小学3年でフェンシングを始め、中学時代にフルーレからサーブルへ転向。高校時代の2014〜2017年、JOCエリートアカデミーに在籍。2018年から全日本選手権2連覇。中央大学卒業後の2021年3月にプロ宣言。2021年東京五輪では団体5位入賞、2022年の世界選手権で日本女子個人として初の金メダル。2月13日現在で世界ランキング1位。
著者プロフィール
門脇正法 (かどわき・まさのり)
マンガ原作者、スポーツライター。1967年、埼玉県生まれ。日本女子体育大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了。アニメ『ドラゴンボールZ』の脚本家である小山高生氏からシナリオを学び、マンガ原作者デビュー。特にスポーツアスリートの実録マンガを得意としており、『世界再戦ー松坂大輔物語ー』(集英社/少年ジャンプ)、『好敵手ー室伏広治物語ー』(同)、『闘球「元」日本代表ー福岡堅樹物語ー』(集英社/ヤングジャンプ)の原作を担当。現在はマンガの原作だけでなく、「少年ジャンプ」のスポーツ記事特集『ジャンスタ』を中心に、『webスポルティーバ』の「文武両道の裏側」など、スポーツライターとしても活躍中。著書に『バクマン。勝利学』『少年ジャンプ勝利学』(ともに集英社インターナショナル)などがある。
フォトギャラリーを見る
4 / 4