オリンピック公式映画はどうあるべきか。『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』の青山真也監督が語る意義と問題点 (5ページ目)
公式映画としての制約を理解しつつ、好意的な印象も話した青山監督だが、次のように危惧する点も挙げた。
「公式映画が『結局、オリンピックをやってよかった』といった言説のための道具として利用されている面もあります。今後も記録映画がどう扱われていくかは検証すべきポイントと言えます」
1964年の東京五輪を振り返る際、多くの人の頭に浮かぶのは、市川崑監督作品の中でも流れる競技シーンである。2020年の東京五輪を数年後、数十年後に振り返った時には何を思い浮かべるだろうか。
「開催都市契約書」の中で「IOCの満足のいくように」と記されている以上、今回の東京五輪で批判の対象となっているすべての側面が明らかになることは難しい。今後、公式映画のあり方や、映像による大会の記録や検証のあり方があらためて問われることはあるのか。それがなければ数十年後、青山監督が危惧したように「問題もいろいろあったが、結局はオリンピックをやってよかった」という記憶のみが残ることになるかもしれない。
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