日本男子モーグル界初の金メダル獲得なるか。上村愛子が驚いた堀島行真の斬新な取り組みとポテンシャルの高さ (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • photo by Gary Yee/Getty Images,MATSUO.K/AFLO SPORT

 今季はエアの難易度を上げず、安定感を第一に、かつ取りこぼしをしないように戦っています。そこは『五輪でも変更しない』と言っていたので、今季やってきたことをやりきることができれば、自ずと結果はついてくると思っています」

――堀島選手は前回の平昌五輪でもメダルの最有力候補に挙げられていましたが、決勝でまさかの転倒。11位に終わってメダルには届きませんでした。

「平昌五輪の前に世界選手権で二冠を達成したあと、堀島選手から『自分の(周囲の)環境がガラリと変わってしまった。戦いづらい環境になって、本番を迎えてしまった』という話を聞きました。彼は自分が望んでいない形に周囲が変わってしまったことを、そこで初めて経験した。そのうえで、"結果を出さないといけない"と追い込みすぎてしまったことが、あの結果になったのかな、と」

――堀島選手はその苦い経験を糧にして、北京五輪に向けては何か新たな取り組みをしてきたのでしょうか。

「本人の話によると、今季はびっくりするような取り組みをしていました! コロナ禍にあって、これまでと同じようなトレーニングができないなかで、体操や飛び込み、パルクール、フィギュアスケートなど、いろいろなスポーツに挑戦していたようなんです。

 それで(堀島選手に)『なぜ?』と聞いてみると、『モーグルの体の使い方に生かせる他のスポーツを見つけたかったんです』と言っていました。私も含めてこれまでの選手たちは、ケガをしたらいけないと思って競技に直結するもの以外はやらないというイメージがあったので、そこは驚きでしたね」

――他の競技をやることでどんなメリットが得られたのか、堀島選手から話を聞いていますか。

「たとえば、フィギュアスケートでは(氷上で)細いエッジで自らの体をコントロールするので、モーグルでの間違った体重移動がなくなったようですね。彼は運動能力が高いので、何でもできるのですが、そうやって一つひとつ積み重ねることで、(モーグルにおける)自分らしさと強さを身につけてきて、精神的にも安定してきたのだと思います

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