伊達朱里紗は声優からプロ雀士に。麻雀アニメを見てハマり、「見て、打って、ボロクソに言われる、の繰り返し」で上達 (3ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 その次の課題は、『この局は攻めるのか、守るのか』の判断ですね。これは難しいですけど。そこまでできると、『この牌(ハイ)を切れば放銃になるけど、放銃自体は悪ではない』というところまで考えなくてはいけなくなるんですね。麻雀の目的は半荘が終わった時、トータル点数でトップに立って終わることなので」

---- 目先の放銃を避けるよりも、放銃しておいたほうが半荘を終えてみたらいいケースもあるということですね。伊達選手は2019年4月にプロ雀士になられて、今シーズンからMリーグで戦っています。昨年までMリーグをどう思われていたんですか?

「プロ試験を受けている頃は、無知すぎて『入れないかなぁ』と軽く考えていたんですよね(笑)。でも、プロの世界にいざ足を踏み入れてみたら、実力と知名度を含めて、Mリーグのコンセプトである『熱狂を外へ』という麻雀を外に広めていくことを実現するには、自分という人材はなんて中途半端なんだろうと思うようになって。私がMリーグに入るのは難しいなって感じていました」

---- それがプロになられてからの2年半の活躍が認められて、今シーズンから晴れてMリーグの一員になりました。どんな気持ちだったんでしょうか?

「ドラフトされてから開幕するまでは、『Mリーグに入っちゃうんだ』ってずっと思っていましたね。開幕してから成績が悪かったら無茶苦茶、言われるだろうなとも思っていて。自分では『声優は声優、麻雀は麻雀』と完全に分けて考えているのに、そうは見てもらえないから、声優というフィルターは邪魔だなとも感じていました。

 プロ雀士にも会社員をしながら、という方もいるのに、それが声優だと遊び半分とか広告塔とかっていう目で見られてしまう。だから、ここまでの成績には安堵しています。でも、ここからも驕り高ぶらず、麻雀をちゃんと打ちたいと思っています」

---- その今季の戦いですが、Mリーグルールと伊達選手の所属する日本プロ麻雀連盟の公式ルールとではだいぶ違うものですが、すぐに対応できている理由はなんですか?

「連盟公式ルールは一発も裏ドラも赤もなしで、Mリーグは一発も裏ドラも赤もありなんですが、私はその中間にある『一発と裏ドラはあり、赤はなし』という最強戦ルールをオクタゴンでずっと打っていたからです。麻雀の基盤を最強戦ルールでつくって、その後に連盟とMリーグのルールに対応した勉強をした感じですね」

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