41歳での銀メダル獲得を世界が称賛。葛西紀明が偉業を達成したスキージャンプの歩み
<冬季五輪名シーン>第6回
2014年ソチ五輪 スキージャンプ・葛西紀明
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いよいよ2月4日からスタートする北京五輪。開幕を前に、過去の冬季五輪で躍動した日本代表の姿を振り返ろう。あの名シーンをもう一度、プレイバック!
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ソチ五輪で銀メダルを獲得し笑顔を見せる葛西紀明この記事に関連する写真を見る
【記者全員にハグ】
2014年2月15日、ロシア・ソチ五輪のラージヒル男子個人で、銀メダルを獲得した葛西紀明。長いテレビ取材を終え、記者が待つミックスゾーンにようやくたどり着くと、「やったー、やったー」と何度も大きく叫びながら、記者たち全員に順番で抱きついてきた。
「僕を長い間報道してくれている新聞や雑誌の記者の人たちには、メダルを獲ったらハグをしようと決めていたんです。みんな顔見知りだし、一緒に喜んでもらいたいと思って」
7度目の挑戦にしてやっと手にした五輪個人のメダル。その感動をより多くの人たちと分け合って喜び合いたいという思いだった。葛西にとって銀メダル獲得のうれしさは、長く待ち望んだ分、大きなものになっていた。
その試合は極めて難しい条件だった。風は、追い風0.67mから向かい風1.01mまで目まぐるしく変わり、風による有利・不利をなくすためのウインドファクターも向かい風でマイナス10点台になったと思えば、次の選手は追い風でプラス10点台という場面もあったほど。そのなかで、オーストリア勢は風に恵まれずに飛距離を伸ばせなかったが、日本勢は恵まれた。さらに葛西は、W杯総合ランキング3位で臨んだため跳ぶのは最後から3番目。この順番が幸いした。
「ノーマルヒルは僅差の8位で、メダルも狙える位置だったから2本目に力んでしまった。ラージヒルでは1本目でトップ3につけようと考えて集中していました。W杯でも表彰台に上がる時はそういうパターンが多かった。そんな状況で心臓がバクバクしても、以前とは違って自分のジャンプがしっかりできるような経験をしていましたから」
そう話す葛西は1本目に139mを飛び、ノーマルヒル優勝のカミル・ストッフ(ポーランド)に2.8点差で2位につけた。
2本目は条件がさらに厳しくなった。1本目24位で7番スタートだったマリヌス・クラウス(ドイツ)が向かい風を受けて140mを飛んだが、そのふたりあとからは追い風が続いた。1本目よりゲートが2段下がり、助走スピードも遅くなった条件での追い風は、トップ選手であっても厳しい。だが、そのなかで葛西は、追い風0.15mで133.5m。ストッフには逃げきられたが1.3点差の2位になった。
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