ポスト野口啓代は誰だ。次々と台頭してくる五輪メダル候補の10代クライマーたち (3ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • 荒木優一郎●撮影 photo by Araki Yuichiro

小池はな/2005年7月5日生まれ/川口市立高小池はな/2005年7月5日生まれ/川口市立高この記事に関連する写真を見る【国内トップクラスの16歳】

 高校3年生の両選手をはじめ、森秋彩世代の松藤藍夢(まつふじ・あのん)、工藤花(くどう・はな)、中川瑠(なかがわ・りゅう)は、すでに大学合格を手にして来シーズンに向けてトレーニングに没頭している。この世代の突き上げが大きいほど日本女子の国際競争力は高まっていくだけに、彼女たちが来年のW杯日本代表を決めるふたつのJCまでにどんな進化を果たすのかは楽しみなところだ。

 黄金世代の下にも、昨年の世界ユース選手権を経験した中学3年の抜井美緒(ぬくい・みお)、高校1年の森奈央(もり・なお)をはじめ、これからの成長が楽しみな選手は多くいる。そのなかから、高校1年の小池はな(16歳)と中学2年の関川愛音(せきかわ・めろでぃ/14歳)を紹介したい。

 小池はなはボルダリング、リードの世代別大会では優勝争いの主役的な存在で、2019年の世界ユース選手権ではボルダリング3位、リード2位。全年代対象の大会でも2020年のBJCで8位、LJCで6位と国内トップクラスの実力を持つ。

 小池の現時点の武器は、同年代の選手に比べて高いフィジカル強度と、勝負にかける高い集中力。ボルダリングでもリードでもよほどのことがない限りは"外さない"。

 一方、これから世界で活躍しようとするには、160cmに満たない身長のハンディを埋める特長が必要になるだろう。それを身につけることができれば、156cmながらも世界トップレベルを争う森秋彩に追いつき追い越せるはずだ。向上心が強くて研究熱心な小池ならば、そんな日は遠くないかもしれない。

 スポーツクライミングの場合、国際大会やオリンピックは大会開催年の誕生日で16歳以上の選手が出場できる。机上では、2024年パリ五輪には2008年生まれの選手から出場可能で、2007年生まれの関川も年齢条件は満たす。だが、実質的には2023年世界選手権に出場できない選手が五輪代表になるのは難しい。

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