錣山親方が語る白鵬の偉大さ。「相撲人として次世代へ夢をつなげることがどれほどの喜びか」 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

先場所後に現役引退を発表した横綱・白鵬先場所後に現役引退を発表した横綱・白鵬この記事に関連する写真を見る さて、秋場所(9月場所)後に横綱・白鵬が引退を表明しました。優勝回数45回。横綱在位は14年以上。横綱での勝ち星が899勝......。史上1位となる大記録を数多く樹立している横綱には、ただただ敬意を表すばかりです。

 そして、私が何よりすばらしいと思っているのは、少年相撲大会の『白鵬杯』を10年間も続けていることです。それも、全国各都市の予選会などを経ることなく、「相撲をやりたい!」という少年たちすべてに門戸を開いているところが立派。加えて、海外からも選手を招聘しているのがすごいです。

 第1回『白鵬杯』に参加した青森県の打越奎也(うてつ・ふみや/当時中学2年生)選手は、その後、大相撲・阿武松部屋へ入門。今や幕内力士として奮闘している阿武咲です。

 彼は2018年初場所(1月場所)で、横綱・白鵬と初めて対戦。2020年春場所(3月場所)で3度目の対戦を果たし、ついに白鵬を破って「恩返し」を遂げます。勝った阿武咲がうれしかったのはもちろんですが、敗れた白鵬の心の中にも感慨深いものがあったのではないでしょうか。

 これこそ、"相撲の底辺を広げる"活動ですよね。優勝は自分だけの喜びですが、相撲人として次世代へ夢をつなげることがどれほどの喜びか......。

 その白鵬は九州場所から親方1年生として、警備の仕事にあたっています。幕内・石浦、十両・炎鵬、北青鵬など、すでに自らがスカウトした内弟子が活躍していますが、これからどんな力士を育てていくのか、指導者としての白鵬の今後が楽しみです。

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