2021.11.11

モーグル金メダリストの里谷多英は今?「仕事がうまくいって上司に褒められるとうれしい」

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

長野五輪金メダリスト
里谷多英インタビュー(後編)

大学卒業後、里谷多英さんが就職したのはフジテレビだった。その前年、1998年長野五輪のフリースタイル・スキーモーグルで金メダルを獲得。本来、そういった選手であれば、競技環境のいい北海道や長野などの企業に就職するケースが多いが、彼女はテレビ局、しかも当時はスキー部のない企業を選んだ。それはなぜか? そして今、彼女はどんな仕事をしているのだろうか――。

前編はこちら>>

現在の状況について語る里谷多英さん現在の状況について語る里谷多英さん この記事に関連する写真を見る ――長野五輪で金メダルを獲得したあと、より競技に集中するためには就職先として他の選択肢もあったと思うのですが、フジテレビを選んだのはどうしてですか。

「当時の私にとって、長野五輪が最大の目標でした。その後は(競技生活を)やめようと思っていたんです。練習がきつかったのもあって、『もう自由になりたい』『練習に縛られない生活をしたい』と思っていたので、就職する際には(就職後も)スキーをすることを考えていませんでした。

 ちょうどその頃、フジテレビのドラマをよく見ていて、単純に(ドラマが)好きでした。就職するなら、自分が好きなものを作っているところに行きたいと思っていたし、好きなドラマ作りにも興味があって、そうした仕事に携われたらいいなと思いまして」

――入社時、志望の部署はあったのですか。

「ドラマ制作の部署を志望していました。実際、新人研修では制作現場にも行って、(現場の)緊張感がすごかったことを覚えています。特に印象的だったのは、ドラマ作りには多くの人たちが関わっていて、ちょっとした失敗でもそのすべての人たちに迷惑がかかってしまうということ。個人競技をやってきた私は、失敗しても自分だけがつらい思いをすればよかったのですが、それだけでは済まされない厳しさを知ったというか。

 それで、私に務まるか不安も感じたのですが、それでもドラマ制作の一部に関わった仕事をしたいと思っていました。でも結局、競技生活を続けていくことになって、そうした部署で働くのは難しく、人事部に配属されました」