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「モンゴル出身力士だから強いわけじゃない」豊昇龍が常に意識していること (3ページ目)

  • 武田葉月●取材・構成 text by Takeda Hazuki

 決定戦は、立浪部屋の3人が各々1回戦を突破して、3人での巴戦に持ち込まれました。結果は、実力どおり明生関の優勝となりましたが、優勝を決めて戻ってきた明生関と握手して......。部屋も盛り上がったし、立浪部屋に僕たちがいることを相撲ファンの皆さんにわかってもらえたのも、よかったと思います。

 この場所、十両で初めてふた桁(10勝)を挙げたこともあって、翌秋場所には新入幕が決まりました。そこから、8勝、7勝、9勝、8勝、7勝という成績が続いて、「さすがに幕内の土俵は厳しいなぁ」と実感しました。

相撲界の「テッペン」を目指して、日々奮闘を重ねている豊昇龍相撲界の「テッペン」を目指して、日々奮闘を重ねている豊昇龍 コロナ禍の今は、出稽古に行けないというのも厳しいですけど、考えてみれば力士はみんな同じ条件ですからね。与えられた環境のなかで、なんとか自分なりに稽古を積んでいるというところです。だから、名古屋場所でのふた桁勝利と技能賞は、本当に自信になりました。

 場所後に部屋が都内(台東区)に引っ越したんですよ。以前の立浪部屋は、茨城県つくばみらい市にあって、自然がいっぱいで環境は抜群にいいのですが、近くに出稽古に行ける部屋がなかった。両国周辺なら、ある部屋に力士が集まって稽古することができるので、別の意味で環境がよくなったのかなと思います。

 今、「負けたくない」相手は、春場所・夏場所の2場所連続で技能賞を獲った若隆景関ですね。名古屋場所では、ひと足早く新三役に上がって、ずっと勝てなかった相手です。

 そんな相手に、名古屋場所で初めて勝てました。若隆景関って、体は僕と同じくらいなのに、力が強くて、しぶとい。僕と似たようなタイプなんです。この時は、上手でも下手でもまわしを取りたいと思っていたけれど、先に上手まわしを引かれてしまって......。だけど、結果的に組み留めることができたので、そこから思いきって下手投げを打ったんです。

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