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「ひとり横綱」の照ノ富士、好調・御嶽海...秋場所注目力士を錣山親方が徹底解剖 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 6日目の若隆景(前頭三枚目)戦では、少々荒っぽく相手のヒジを極めていました。かつて大関だった頃の照ノ富士であれば、相手力士を極めたら、もれなく小手投げにいっていたことでしょう。

 しかし、今は腰がしっかりと降りていて、相手に自分の圧力が確実に伝わっているため、そのまま極めて前に出ることができています。加えて、この一番に限らず、前傾姿勢を保ち続けているのは「すごい!」のひと言。これこそ、盤石と言える照ノ富士の強さのポイントです。

 そんな照ノ富士に迫る存在は誰か? 序盤戦から好調をキープしている関脇・御嶽海と、大関・正代になるでしょうか。

 とりわけ注目したいのは、御嶽海。彼は相手の中に入るのが巧いし、差さなくても相撲がとれるのは強み。私は毎場所のように彼には期待を寄せていますが、特に今場所はその期待に応えてくれるのではないか、という"強さ"を感じます。

 後半戦は、自分より番付が下位の力士との対戦となりますが、そこでも気を抜かず、御嶽海らしい相撲をとり続けることができれば、今場所は俄然面白い展開になりそうです。御嶽海にはぜひ、照ノ富士と優勝争いを演じてもらいたいと思っています。

 その他、今場所で注目していたのは、初めて幕内上位に進出してきた琴ノ若(前頭三枚目)。お父さんは元関脇の琴ノ若(現・佐渡ヶ嶽親方)で、お祖父さんが元横綱・琴櫻関(先代の佐渡ヶ嶽親方)という"サラブレッド"です。

 当の琴ノ若は、埼玉栄高からお父さんが師匠を務める佐渡ヶ嶽部屋に入門して、はや6年。身長188cm、体重165kgという恵まれた体格の持ち主で、非常に魅力ある力士です。

 前半戦は初の上位戦で苦戦していましたが、それはまだ相撲が中途半端だからでしょう。突きたいのか、組みたいのか、どういった相撲をとりたいのかが見えないのです。相手力士に合わせて、相撲をとっている感じさえします。

 こうして、あえて厳しい言葉を並べるのは、少年時代から琴ノ若を見ているからです。相撲が大好きで、一生懸命に取り組んでいる彼には以前、「将且(本名)、がんばれよ!」とよく声をかけていました。今場所は負傷により10日目から休場となってしまいましたが、今後の飛躍を期待したい力士のひとりです。

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