「チームの解散も覚悟した」富士急・小穴桃里の壮絶なカーリング人生 (4ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro
  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

 それは今も身に染みついていて、プロではないのですが、お金をいただいて競技をしている限りは、パフォーマンスが出せなかったら、何かしらのアクションがあるのは当然だなとは思っています。ですから、2017年の日本選手権で負けて平昌五輪に行けないことが決まった時には、チームの解散も覚悟したぐらいです。でも、その時に『もう4年、がんばれ』と(富士急の)岩田大昌社長が言ってくださって、負けて悔しいのと、カーリングを続けられるうれしさで泣いてしまいました」

――2018年にはついに日本選手権で優勝。世界選手権にも初めて出場しました。

「世界選手権の結果(5勝7敗で10位)がいいものではなかったので、言いにくかったりもするのですが、本当に楽しかったです。オンタリオ州のノースベイという街で開催されたのですが、小さな街にもかかわらず多くの観客が集い、特にカナダ代表の試合がある日はいつも満席で、私たちのショットにも惜しみない歓声と拍手を送ってくれました。世界でいちばんカーリングが盛んな国の温かさを感じて、またカーリングが好きになりました」

(つづく)

小穴桃里(こあな・とうり)
1995年5月25日山梨県甲府市出身。8歳の時にカーリングを始め、中学3年生の時に2010年に結成したチームフジヤマ(現富士急)のオリジナルメンバーとして抜擢される。以降、チームとともに成長を続け、2018年には日本選手権で初優勝。世界選手権にも初出場を果たす。翌2018-2019シーズンにはワールドツアーで2勝するなど、近年大きな躍進を見せている。趣味はロードバイクとピストバイク、カメラなど。好きな食べ物は、いももち。「真央さんのお母さんの手作りがいちばん美味しいです」

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