再び激戦が予想される11月場所。錣山親方が気になる若手力士とは? (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 メディアなどから「大関獲り」について騒がれなかったことも、正代にとっては、好都合だったと思います。というのも、正代は"ここ一番"という場面で緊張するタイプ。現に、インタビューなどで「あまり(自分に)注目しないでください」と発言しているほどですからね。もし場所前から「大関獲り」が注目されていたら、自らプレッシャーを感じて、こうした結果を得られなかったかもしれません。

 ある意味、ここ数年「大関候補」と言われている御嶽海は、その象徴と言えるかも。「大関獲り」と注目される場所では、なかなか好成績を挙げられず、くすぶり続けていますからね。

 いわば"ノーマーク"のなか、ワンチャンスをモノした正代ですが、今場所も序盤は、土俵際まで攻められながら、なんとか凌いで白星を重ねていました。先場所の千秋楽で、優勝のかかった翔猿戦で見せたような相撲ではありますが、それもまた、正代らしいところ。

 そうした相撲によって、正代はよく「腰が高い」とか「体が反り返っている」などといった指摘を受けていますが、その相撲こそが、彼のスタイル。今場所は左足首を負傷して5日目から休場となってしまったことは残念ですが、今後も自分流を磨いて、さらなる上を目指していってほしいと思います。

 そうなると、今場所の優勝争いは、現状では大関・貴景勝が一歩リードといったところでしょうか。ヒザの負傷はあるものの、前に出る安定した相撲を見せていますからね。

 大関昇進後は、まだ優勝がありません。「次は自分だ!」という気持ちも強いはずです。

 先に触れた御嶽海にもチャンスはあります。元気な姿を見せていますし、大関昇進を正代に先を越されてしまった今、その悔しさを土俵にぶつけてほしいです。

 若手で注目しているのは、先場所で11勝を挙げて、前頭筆頭まで番付を上げてきた若隆景です。初日に正代、2日目に貴景勝と大関戦が続いて連敗を喫しましたが、正代を土俵際まで追い詰めるなど、勢いを感じます。

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