ブラジル出身・魁聖の角界入り経緯。サンバよりマンガが好きなオタク (3ページ目)

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki

 僕が生まれたのは、ブラジルのサンパウロ。お祖父ちゃん、お祖母ちゃんが日本人なので、日系3世ということになります。ブラジル出身と言うと、サンバとか、賑やかなイメージがあるかもしれませんが、自分は昔からブラジルっぽくないって言われています。静かでインドア派。マンガとかアニメ、ゲーム好きな......まあ、オタクって感じです。

 僕は小っちゃい頃から体が大きくて、お父さんの勧めで柔道をやっていたんです。でも、技とかうまく決まらなくて、ほとんど腕の力で相手を倒していたんですよ(笑)。

 相撲と出会ったのは、16歳の時。体の大きさを見込まれて、「やってみないか?」みたいな感じで、サンパウロ市内のチーム『サントアマーロ』に入ったんです。

 当時、ブラジルで相撲をやるのは、ほとんどが日系の人でしたね。『サントアマーロ』の稽古は週に1回、土曜日の夜だけだったんですが、僕、だんだん相撲を取る楽しさがわかってきて、日曜日の朝にも、市内にもうひとつある『サンパウロ』というチームでも稽古していました。

 そうしているうちに、どんどん相撲が趣味みたいになってきて、日本の大相撲をインターネットで見るようになりました。まだその頃は、画像もクリアとは言えなかったし、力士の顔と四股名もあまり一致しなかったんですけどね(笑)。

 好きだったのは、魁皇関。強くてすごいなぁと、ずっと憧れていました。

 翌年からは、国内の相撲大会や南米相撲選手権などの試合にも出るようになって、2004年、18歳の時に初めて日本に来ました。世界ジュニア相撲選手権というU-18の世界大会のブラジル代表として、です。

 あとから考えてみても、大阪で行なわれたこの大会に出ていたメンバーはすごかった。豪栄道関、栃煌山、碧山(ブルガリア)とか、いわゆる「ロクイチ組」(昭和61年度生まれ)ですね。

 僕は個人無差別級に出ましたが、優勝が豪栄道関。2位は現在幕下にいるハンガリー出身の舛東欧で、3位が栃ノ心(グルジア)と僕でした。

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