リオ五輪、日本のメダルほぼ全部に「東京都北区西が丘」が絡んでいた (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 伊藤晴世●撮影 photo by Ito Haruyo


「ハイパフォーマンススポーツセンター」のなかでも中核的な存在であるJISSの最大の特徴は、もちろん「科学による競技力の向上」だ。その具体的な中身について、久木留センター長が説明する。

「JISSの役割はスポーツ科学・医学・情報による支援ですが、そのうち科学とは何か? 一番は、自分の力がどれくらいか、ライバルと比べてどこがどれだけ優れているか、劣っているかを数値にして"見える可"することです。練習中や練習後、血圧や心拍数、血中乳酸値などがどうなっているのか。それぞれの変化を可視化して、能力が上がっているのか、下がっているのかが見てわかる。もし科学がなければ、『もっとがんばれ!』で終わっているところです。

 例えば、JISSに近い赤羽から新宿へ行くなら南へ向かわなければならないのに、大汗かいて北に向かって走っていたらダメでしょ? それを上から見て、"科学"を活用して『おい、方向が違っているぞ』と言ってあげることができる。

 でも、この例え話には"ただし"があって、やりきれば方向が間違っていても新宿には着くんです。なぜなら、地球は丸いから一周走ればいつかは行ける。だから練習には"量"も大事なんですが、それではあまりにも効率が悪すぎます。やっぱり、科学が必要なんですよ」

 そうしたスポーツ科学の一例として、JISSにある「常圧低酸素室」の果たす役割を教えてくれた。

久木留センター長自身も元アスリート久木留センター長自身も元アスリート

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