2020.03.25

五輪メダルをドンドン増やす
「国立スポーツ科学センター」って何だ?

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 伊藤晴世●撮影 photo by Ito Haruyo

JISS久木留毅センター長インタビュー・前編

 2月、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は「東京オリンピックでの金メダル30個獲得はJOCの使命」と改めて強調した。一方で、日本パラリンピック委員会(JPC)の東京2020特別強化委員会は「東京パラリンピックでの金メダル獲得目標を20個、総メダル数の目標を52個以上」とした。

 新型コロナウイルスの影響で2020年夏の開催が延期となり、開催時期が不透明な状況のなかでも、アスリートたちは調整を続けなければならない。こうした高い目標を掲げられた代表選手を支え、”史上最多の金メダル”という夢を実現するカギを握っているのは、日本の競技力向上を託されたハイパフォーマンススポーツセンターの中核機能である「国立スポーツ科学センター」だと言っても過言ではないだろう。

 そこで、スポーツ科学のエキスパートとして長年にわたり第一線で活躍し、2018年から国立スポーツ科学センター長を務める久木留毅(くきどめ たけし)氏に同センターで何が行なわれているのかを聞いてみた。

JISS内のトレーニング施設を案内する久木留センター長
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 2001年4月にオープンした国立スポーツ科学センター(Japan Institute of Sports Sciences=JISS)。ここが設置された経緯について、久木留センター長の話は半世紀前の法律まで遡った。

「アジア初となる東京オリンピック開催を3年後に控えた1961年、スポーツを国民に広く普及させるための、国や地方公共団体の施策の基本を明らかにしようということで『スポーツ振興法』が制定されました」

 しかし、その法律が具体的な形として実を結ぶまでには長い年月がかかってしまう。 

「1961年から実に39年後の2000年9月、当時の文部省が策定した『スポーツ振興基本計画』に”スポーツを科学・医学・情報の面からしっかりサポートするべき”と書かれていたことから、JISSが生まれたというわけです。

 構想が実現した背景としては、ちょうど諸外国も国際競技力向上に取り組み、成長を遂げていたこと。そして2001年3月3日から『スポーツ振興くじ』、いわゆるサッカーくじの全国本発売が始まったので、国の税金以外でスポーツに使えるお金が入るだろうという目算がありました。最初はなかなか売れませんでしたが、『BIG』が始まってからは順調で、今は年間約1000億円の売り上げがあり、そのうち約200億円がスポーツの振興にまわっています」