楢崎智亜と野口啓代、好成績も表情に明暗。新たな弱点も見つかった (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 一方、すでに昨夏の世界選手権で五輪内定を決めている楢崎智亜と野口啓代は、それぞれ2位。五輪イヤー最初の大会で好スタートを切ったが、大会後の表情は対照的だった。それでも、両選手にとって今シーズン最大の目標である東京五輪に向けては、実り多いものになったようだ。

「最後のBJCなので楽しみたい。いろいろな思い出が詰まっている大会なので、優勝して終わりたいし、今までよりもいい内容にしたい」

 大会前日会見で12度目の優勝へ意欲を見せていた野口は、試合後は報道陣の質問の答えに「悔しい」の言葉を何度も発した。それは、内容に手応えを感じていたからこそだろう。

「優勝できなくて、めちゃくちゃ悔しいです。決勝課題は4本中3本を完登できて、自分が登れた3本のパフォーマンスはよかったし、集中力だったり、1トライ目でしっかり登り切る能力だったりは出せた。それだけに悔しいです」

 野口の最大の持ち味は、ホールドを掴む指の保持力の強さにある。どんな傾斜の壁であっても、指で持てるホールドがついていれば、そこを起点にして登っていく。

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