2020年の相撲界を錣山親方が分析。「世代交代の波が押し寄せる」 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 私たちの現役時代と違って、現在は医学も進歩しているし、トレーニング方法も科学的なものに変わってきています。それに比例して、力士人生は確実に長くなってきていますから、竜電にしても、今後のさらなる活躍が見込めます。

 初場所前の二所ノ関一門の連合稽古では、元大関で関脇の高安と五分五分の相撲を取るなど、精一杯やっているところにも好感が持てました。竜電本人も、「今年は三賞を2回獲りたい」と意欲的な姿勢を見せているようですし、躍進への期待は一段と膨らみます。身長191cm、体重154kgという恵まれた体を生かし切れば、上位力士を食う、面白い存在になるのではないでしょうか。

炎鵬らしい相撲でさらなる活躍を見せてほしい炎鵬らしい相撲でさらなる活躍を見せてほしい 期待の力士は、もうひとりいます。身長168cm、体重99kgという小さな体で土俵を盛り上げている炎鵬(前頭5枚目)です。

 私が現役の頃にも、舞の海(現解説者)という小兵力士がいましたが、こういうタイプとの取組は、結構やりづらいもの。それは、横綱をはじめ、上位陣にしろ、大型力士にしろ、誰もがそうだったと思いますよ。

 小兵力士でも結果を残せるのは、頭を使っているからです。舞の海もそうでしたが、炎鵬もいろいろと考えて、考えて相撲を取っています。すべての相手が自分よりも大きいわけですから、相手がどうこうではなく、炎鵬はそうやって炎鵬らしい相撲を取っていくしかないんです。

 ただ、幕内5場所目ともなると、相手にも手の内を知られてきます。得意、不得意な力士も出てきて、そう簡単には勝てなくなってくるでしょう。

 そんななかでも、上位力士とも対戦する今場所は、初顔の相手も多いので、チャンスと見ることができます。連日、動き回る相撲を取っているため、後半戦で息切れする場所も見られましたが、大声援を後ろ盾にして、がんばってほしいですね。

 そのほか、ファンが注目している有力どころと言えば、大関・貴景勝や関脇・朝乃山でしょうか。

 場所前から好調が伝えられていた貴景勝は、横綱審議委員会稽古総見でも熱い稽古をしていましたし、ヒザや上腕のケガも癒えてきて、その活躍は十分に期待できます。

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