2019.10.06

エペ世界1位の見延が考える相乗効果
「後輩には隠すことなく教える」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

 フェンシングには、日本が世界で好成績を残しているフルーレやサーブル、そしてエペの3種目がある。中でも”エペ”は、ポイントが得られる有効面が全身であること、攻撃権は関係なく、先に突いた方がポイントを得られるシンプルな種目だ。

自信を持って世界に臨んでいると話す見延和靖 見延和靖(NEXUS)は、フェンシング発祥のヨーロッパでも最も人気が高いこのエペで、2018~19年にはグランプリ2勝、ワールドカップでも1勝すると、今季世界ランキング1位になった。

 15年11月にワールドカップ・エストニア大会で優勝して以来、様々な”日本人初”を実現してきた見延。世界ランキング1位に関しては「たぶん、僕も含めて誰も想像していなかったんじゃないかと思います。最後にたどり着きたいところだとは思っていましたが、それがちょっと早く来たかなというところです」と笑みを浮かべる。

 現在32歳になり、一般的にはベテランの年齢だが、フェンシングでは世界に出れば30代の選手たちがザラにいる。勝つためには、力や勢いだけではなく技術を成熟させていく必要性も重要な競技だ。

 見延もベテラン選手としての自覚を持って競技に取り組んでいる。

「とくにエペはそういう面があると思います。自分は小柄な分、長く続けていくには運動量の面でなかなか難しいところもありますが、エペに関してはそれを経験値などで補うことができる。この先もまだまだトップでいることは可能だと思うし、世界の強い国はそういうベテラン選手が主軸となっているので、日本がフェンシング大国になっていくためにも、自分がずっと中心でやっていくのが大事かなと思う」

 08年北京五輪に太田雄貴の銀メダル獲得で一般的にも注目されたフェンシングだが、日本では元々、太田がメダルを獲ったフルーレが伝統的に盛んで、選手人口も多い。エペの選手たちも、フルーレをやってその延長線上でエペをやるというスタイルが多かった。

「フルーレが03年からウクライナ人のオレグ・マツェイチュクコーチを招聘してから強くなったように、エペも08年からウクライナ人のオレクサンドル・ゴルバチュクコーチを招聘したのは大きいですね。10年くらい経ってから、ようやく選手側が彼の言っていることを理解できるようになったし、それを理解できるコーチも育ってきたことが結果に結びついてきている。北京五輪に(エペで)出た西田祥吾さんもゴルバチュクの指導を受けていましたが、今はコーチとしてチームに戻ってきているのですごくいい環境になっている」