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桃田賢斗の国際大会勝率は約9割。
東京五輪へ誰が相手でも、必ず勝つ (2ページ目)

  • 平野貴也●文 text by Hirano Takaya
  • photo by AP/AFLO

 昨年と違うのは、勝ち上がり方であり、勝ち方であり、戦い方である。昨年の桃田は、ただ一心に得意のレシーブ主体でゲームを運び、勝てばそれでよかった。しかし、今年は、違う。昨年優勝し、世界ランク1位となって立場が変わった。相手に研究されるようになり、守るばかりでは苦戦を強いられるようになったため、攻撃強化をテーマに取り組んできた。接戦にさえ持ち込ませない全試合ストレート勝ちは、攻め勝つスタイルがところどころに表われたことによるものだ。

 桃田は、少なくとも3つの対策を練られている。

 まず、桃田が得意としている、ヘアピンショット(ネット手前に落として相手に拾い上げさせるショット)への警戒。対戦する相手は、前方に寄った位置取りが増えた。次に、桃田がその対策として相手をコート後方へ追いやるショットのパターンを、狙い打ちされることも増えた。そして3つ目が序盤からのハイペース勝負。全試合に勝とうとする桃田よりも1勝にかけてペースを上げてくるのだ。しかし桃田は、パターンを予測されないように複雑化したり、ハイペースに負けないペース配分を覚えたりという努力を続けた。その結果が、相手に付け入る隙を与えない完全勝利につながった。

 桃田の注目度は、高まるばかりだ。何しろ、ほとんどの試合で勝つ。世界選手権を終えて、今年の国際大会は40勝5敗(棄権は含まない)。88%を超える勝率を誇っている。関心を示したのは、テレビ局や、テレビの前で試合を見た日本のファンばかりではない。会場でも「モモータ」が主役だった。

 少し話題がそれるが、試合会場の状況を伝えたい。今大会は史上初めて、障害を持つ選手たちのパラバドミントンの世界選手権が同じ会場で同時に開催されていた。障害者スポーツの発展を考えると、大きな意味のある取り組みだ。一方、単純に一つの会場で2大会を開催するのは、容易でないうえ、初の同時開催で、それなりに難しさもあった。サブアリーナでパラバドミントンの試合を行なっているため、ウォーミングアップエリアが極端に狭かったのだ(パラの選手のアップも大変だったのではないだろうか)。

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