畠山愛理は基本ネガティブ。それでも
「性格を変えようとは思わない」 (3ページ目)
―― 『サンデースポーツ2020』のレギュラーになってから1年がすぎました。1年前と比べて、手ごたえはどうですか。
畠山 ちょっとずつ慣れてきましたね。でも、緊張しなくなったかと言ったら、そうじゃないです。やっぱり生放送ですし。でも、緊張しなくしようとも思ってなくて。(現役を)引退してから緊張する場ってなかなかないんですよ。オリンピックほど緊張するところとか。だから、『サンデースポーツ2020』のお仕事が決まる前まで、緊張を欲していた感じがあったんです。
―― 刺激が欲しかったということでしょうか。
畠山 そうです。新体操が好きだし、好きで一生懸命だからあんなに悔しくて涙が出たり、悲しくなったり、逆に喜べもしたけど、それこそ悔し泣きすることが、引退したらなくなっちゃったんです。新体操と同じような熱中度で取り組めるものを、仕事で見つけるのは難しいとは思うんですけど、なかなか見つからないんだなって。これはすごくお母さんに感謝しているんですけど、私は新体操を始める前にいくつかスポーツの体験をさせてもらって、自分で選ばせてもらったんです。
―― 本番は緊張されるということでしたが、特に緊張した取材はありましたか。
畠山 取材はどれも緊張します。あと、もうちょっと(自分が)選手の時にどうやってインタビューされていたかをしっかり見ておけばよかったなって思っています。でも、このお仕事をさせていただいたからこそ、選手たちのことを伝えるために前調べをして、いろいろ準備して、限られた時間、例えば10分の間で、そこですべてある意味、出しきらなきゃいけない、聞ききらなきゃいけないっていう気持ちで選手に取材してくれていたことがわかりました。今自分はこっち側でやらせていただいているので、不思議な気持ちになりますね。選手の時も、取材の方に感じるものがあって。「この人はすごい私のことを伝えようとしてくれている。知ろうとしてくれている」っていうのは選手もわかるんですよ。だから、ただ(取材に)来ている人はわかるし。それがわかるということを知っているからこそ、ちょっと怖くなったりもするんです。(『サンデースポーツ2020』で)1週間ごとに違う競技を取材させていただいているので。
―― 畠山さんの担当コーナー『アイリポ』では毎週、取材対象が違いますね。
畠山 私が求められているのは、初めて競技を見た人の感想や選手目線からの言葉だと思うんです。でも、選手たちは、私がそうやって来るよりは、(競技をもっと深く)知ろうとしてくれている人を求めているのかなって思っちゃうんです。
―― そこは難しいなと感じているところなんですね。
畠山 そうですね。
―― 取材するうえで、気をつけていることはなんでしょう。
畠山 選手の邪魔をしたくない、ですね。取材の方が近いと、選手はすごく気になる。あと、すごく大きな声でレポートされると、気がそっちに行っちゃうし。でも、それを(番組上)求められる時もあるんです。そういう時はちょっと苦しくなります。選手がいるのに...とか。お客さんがいるのにそんな前に立ってやっていいのかな、とか。選手がどう思うだろうって考えちゃいます。
―― 先程の話にもありましたが、『サンデースポーツ2020』を見ていると、畠山さんがコメントを求められる時は、アスリートとしての視点を求められることが多いかと思います。そこは意識されてコメントされているんでしょうか。
畠山 そうですね。自分だったらどうだろうとか。現役の時のことを思い出しながら、しゃべるようにはしています。でも、正直よくわからない時もあるんですよ。私は採点競技だったので。対戦競技を見た時はコメントが難しいんです。でも、採点競技だと深くしゃべれるんですよね。同じアスリートと言われても、対戦競技のほうはどちらかというと素人で、試合への気持ちの持っていき方も違えば高め方も違うし、表現をするのと速さを競うのでは同じスポーツでも全然違う。そういうところは、(コメントを)求められても、うまく答えられない時もあります。共通点もあれば、全く違うところもあるんですよね。
―― では、フィギュアスケートとかは共感できる部分が多かったりするんですか。
畠山 そうですね。フィギュアスケート、アーティスティックスイミング、スケートボートとかは採点競技なので。そういうのは共感して見られるというか。この選手はこれを伝えようとしているんだとか、そういうのは感じやすいです。
(つづく)
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