小林陵侑がスキージャンプで偉業。
コーチの意外な言葉が心を軽くした

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO SPORT

 スキージャンプのシーズンが終了し、帰国した小林陵侑(りょうゆう/土屋ホーム)。その手には、日本男子初となるW杯総合優勝のクリスタルトロフィーが抱えられていた。

総合優勝の証であるクリスタルトロフィーを掲げる小林陵侑総合優勝の証であるクリスタルトロフィーを掲げる小林陵侑 シーズン最後のスロベニア・プラニツァ大会はフライングヒルだった。個人第1戦は1本目でトップに立ちながらも、2本目は踏み切りのタイミングを外して2位。翌日の団体戦でチームは4位だったが、個人の記録としては1本目が1位、2本目は2位と、エースとしての役目を果たした。

 そして、個人最終戦となる第2戦では、1本目に予選でマークした日本最高記録の248mを上回り、W杯ヒルレコードとなる252mを飛んだ。2本目は1本目よりゲートが2段下がって向かい風も弱くなったなかで230.5m飛び、着地もテレマークをきっちり決める完璧なジャンプを見せ、圧勝的な強さで、総合優勝に花を添える戦いぶりだった。

 そんな小林が今シーズンで一番印象に残っているジャンプは、記憶にも新しい252mの自己ベストのジャンプだったという。

「飛び出しもうまくいって空中もうまく通過したので、ああいう記録が出たのだと思います。こうなったら次の目標にするのは、世界記録の253.5mですね。でもそれを出すには条件と調子がかみ合わなければ出ないので、あまり考えないようにします」

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