金メダル獲得の原動力。スピードスケート小平奈緒の一番の武器とは (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Pro Shots/AFLO

「直線の滑りの左足のキックの加速量がこれまでは右に比べて全然少なかったんですが、左からもポンとくるようになったのが大きな違いですね。今では体重が両足に乗るようになっているのでスピードの変化が起きなくなっているし、動作もすごく大きくなりました」

 その結果、すべてがプラスに働き始めた。

「筋力がついて体脂肪も落ちたので、技術も当然やりやすくなる。片足にかかる負担量がものすごく軽くなるので加速も大きいし、スタミナももつようになる。成績が出始めると神経質ではなくなってきて、素の自分を見つめられるようにもなったんです。正のスパイラルに入って全部がうまく流れ出したというか、一気に好転したイメージです」

 オランダから帰ってきた1年目は、筋力的にはまだ完全に戻りきっていない状態だった。それでも500mでは低地で37秒台前半を出せるようになり、2月のカルガリーでは日本記録を36秒75にまで伸ばした。

「平昌五輪シーズンには、完全に戻ってソチの前よりは筋肉量がもちょっと上がっていたし、最大パワーも上がりました。かといって持久力が落ちるということもない。普通は筋力が上がると乳酸を出してしまう能力も上がるので、乳酸に対する耐性力も低くなるんですが、そこも上がったんです。

 帰国後1年目で500mは戻っていたのに比べて、1000mは戻りきっていなかったのですが、2年目は1000mもW杯で勝ち続けていたようにかなり強くなっている。平昌の後に小平自身も『まだ伸び続けている』と言えるのは、そういう手応えがあるからです。持久系に関しても五輪後はすごく忙しい時間を過ごしているのに、菅平まで自転車で行くとベストタイムが出ている。またちょっと体に変化があるし、持久系の部分もパワーの部分もまだ伸びるのかなと思いますね」

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