カーリング再び快進撃。引きつる藤澤五月を山口剛史がイジってほぐす

  • 竹田聡一郎●取材・文 text&photo by Takeda Soichiro

「最初は何が悪いのか、わからなかった。2勝くらいしかできないんじゃないかと思った」

 4月21日からスウェーデン・エステルスンドで開催されているカーリングのミックスダブルス世界選手権。日本代表として山口剛史(SC軽井沢クラブ)と藤澤五月(ロコ・ソラーレ北見)のペアが出場しているが、藤澤は連敗で始まった予選リーグをそう振り返った。

「アイスなのか、石(のクセ)なのか、戦術なのか。(問題点を)どこから潰せばいいのか......」(藤澤)

 初戦のニュージーランド戦に続き、2戦目のエストニア戦にも負けたあと、彼女は軽い混乱に陥っているように見えた。

 同時に、「センターにドローするだけでは、点は取れない。タップ(※手前にあるストーンに当てて奥に押し込むショット)の技術と、アングルの作り方を意識しないと......」と藤澤。ミックスダブルス特有の、細かなショットの精度の"壁"にも直面していた。

 対象的に、相棒の山口は楽観的だった。正確に表現すると、あえて楽観的に構えていた。

「ウエイトは合っているし、(藤澤は)しっかり投げてくれている。あとは、作戦の問題。これからよくなる」と、藤澤の力を信じて励まし続けた。

 くだらない冗談を言ったり、「そだねー」を乱発したり、LSD(ラストストーンドロー。※試合前の練習後に投球して先攻・後攻を決めるもの)で藤澤と勝負を仕掛けたりして、悩める日本のエースをいじって、リラックスさせることに注力した。

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