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渡部暁斗「金メダルを獲っても
レースがつまらなかったら意味がない」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 五十嵐和博(人物)、赤木真二(競技)●写真

 ただ言えるのは、継続して年を重ねた時に見えてくるものがあるんじゃないかなということです。体が衰えた時に何か発見があったりとか......。

 そういうものは自分の中に残ると思うし、後世にも残るものだと思うんです。次にやりたいと思うことも別にないし、今は天職ともいえる競技に出会っているわけだから、それを突き詰めていくのが僕の役目でもあると感じます。それでレジェンドと言われるようになれば、それもいいかなと(笑)。

 最後は健司さんみたいに国体に出たいとも思っています。競技としてではなく、楽しく気楽にコンバインドをやってみたいというのがあるので」

 W杯4連勝で平昌五輪の金メダルが一気に近づいてきた。渡部も多くの取材で「近くなっていると思う」と話しているが「それもリップサービスですよ」と笑いながらもこう続ける。

「五輪というのは、ある程度の実力があって運がよければメダルが獲れると思うんです。特に僕らは天候に左右される競技なので、その時にいい風をもらってクロスカントリーでスキーが滑れば、それまで勝ったことがない選手が勝つというのもあり得る。そういう過去の結果も知っているからこそ、結果にはそんなに執着しないというのがあります。

 もちろん五輪が一番目立つし、日本人からも一番評価される場かもしれないけれど、そのレース自体がつまらなかったら意味がないというか、中身のある戦いをして、そのおもしろさを見てもらってこそ価値がある。渡部暁斗が金メダルを獲ったという事実だけだったら、別にいらないと思うんです。

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